劉客員研究員は、「現在、日銀は量的緩和を進める力があるが、そのような決定をする可能性は非常に小さく、量的緩和手段はすでに極限に達している。客観的な環境によって、日本政府は今後、量的緩和ツールを採用する際により慎重であることを決定づけられている」と話す。
現在、安倍政権は経済活性化ツールを量的緩和モデルから財政による活性化モデルへと転換させている。劉客員研究員は、「実際、過去2年間のアベノミクスでは、財政による活性化も隠された基調だった。効果という点でみると、財政予算案の配分によって1四半期や2四半期の経済成長を実現することは可能だ。そこでこのたびの前倒しでの大規模な財政活性化策の施行を排除しないのは経済成長データをよりよいものにしようとするからだ」と話す。
この前倒しでの大規模な財政活性化策というのは日本が新たにうち出した予算案のことだ。安倍政権の目下の動きは予算案における財政補助金で消費を喚起しようとするものだ。劉客員研究員は、「日本がこのほどうち出した2016年度の予算案では、一般会計の歳出が96兆7218億円で、下半期に出される補正予算を合わせると、消費の喚起に使われる予算は5兆円かられには商品券の発行や道路交通の整備などのインフラ、奨学金の増設など各方面への支援が含まれる。
▽増税はやむを得ない選択
前倒しして予算による経済活性化効果を発揮させようとするのは、日本で個人消費が低迷を続けていることが主な原因だ。これは日本経済不振の根本的な原因でもある。個人消費が日本経済に占める割合は6割に達するからだ。
このほど発表されたデータをみると、2月の閏年による影響を除いた世帯消費は前年同月比1.5%減少し、15年は前年比1.3%減少で、2年連続の減少となった。