こうした状況が消費税率引き上げの時期をゆるがせた。安倍晋三首相は日本国内の会議でも、米国で行われた核安全保障サミットでも、経済情勢が持続的に悪化すれば、消費税率の引き上げを先送りすると述べてきた。
3月16日に行われた国際金融経済分析会合では、米国のノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授とクルーグマン教授が、「2016年の経済情勢は全体として不調である」として、日本政府に消費税率引き上げを先送りするよう提言した。
劉客員研究員は、「ここからわかることは、安倍政権は消費税率引き上げで税収を確実に増加させることができ、日本にとって大きな意味があるが、引き上げ後の打撃も明らかだということだ。これには世帯消費が全体として低下局面に陥るなどのマイナス影響も含まれる。ここ数年、アベノミクスは賃金上昇の問題を解決できなかった。今年の春闘の状況をみると、今後は賃金上昇幅が縮小を続けるとみられる」と述べる。
劉客員研究員は、「消費税率引き上げがもたらす必然的な結果は消費の低迷だ。これまで税率を引き上げた時はいつも消費が低迷してきた。2014年にアベノミクスで初めて行われた税率引き上げでは2つの効果がみられた。1つは駆け込み消費で、14年の第1四半期(1-3月)の経済成長データは非常に好調だった。もう1つはその後の経済成長の下り坂で、消費税率引き上げの消費抑制効果は非常にはっきりしている」と指摘する。
とはいえ、日本政府は税収の減少に直面して、税収源を確保しなければならない。一番早く効果が出るのは消費税率引き上げによる増税だ。消費を抑制するとはいっても、経済が低迷する今、日本政府は「2つのマイナスのうち被害が軽い方を選ぶ」しかなくなっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年4月13日