二国間通貨スワップ協定の調印で、金融の安定を維持できただけでなく、今後の人民元の越境貿易決済のための資金的な基礎を固めたことになる。国家発展改革委員会の寧吉■(吉へんに吉)副委員長は「一帯一路」(the Belt and Road)参加国・地域生産能力協力状況発表会で、「国際的な生産能力協力は『一帯一路』の共同建設の重要なチャンネルであり、重大な措置だ。中国は参加22ヶ国と総額9千億元を超える通貨スワップ協定に調印しており、生産能力協力と人民元国際化が相互に促進し合うよう推進する」と述べた。
▽中国は日本にRQFIIの投資枠2千億元を付与
通貨スワップ協定だけではない。中国は9日、日本にRQFIIの投資枠2千億元を付与するとし、このニュースは市場の注目を集めた。中国が日本にRQFIIの投資枠を与えたのは今回が初めてのケースで、日本の金融機関はこれまで適格国外機関投資家(QFII)の投資額しか与えられていなかった。
中国は現在、資本項目のすべてを開放しているわけではなく、人民元を自由に交換することはできない。こうした状況の中、中国はRQFIIを通じて国外の投資家に中国国内における一定の投資額を割り当ててきた。今回の合意で、中国は日本に人民元2千億元の投資額を割り当て、日本の金融機関はこの限度額の範囲で中国市場での両替・投資が可能になった。たとえば株式や債券などに投資できる。
蘇寧金融研究院マクロ経済研究センターの黄志龍センター長は、「日本が中国からRQFIIの投資枠2千億元を与えられたことは、人民元の周辺地域における国際化レベルを急速に押し上げることになる。さきに国家外貨管理局が発表したデータでは、4月24日現在のQRFIIの累計投資枠は6148億5200万元で、人民銀が日本に新たに2千億元を付与すると、累計投資枠は8千億元を超える。現在、日本の他に投資枠を獲得した国・地域には、香港地区、シンガポール、英国、フランス、韓国、ドイツ、オーストラリア、スイス、カナダ、ルクセンブルク、タイ、米国、マレーシアがある」と述べた。
RQFII以外にも、金融業の対外開放に関わる政策が次々打ち出されている。4月11日には人民銀の易綱総裁がボアオ・アジアフォーラム2018年年次総会で、金融業の対外開放をさらに拡大するための11の措置を発表し、金融開放の全体図が明らかになった。その後、一連の措置が相次いで実施され、「滬港通」(香港市場を通じて上海A株の売買が可能になる措置)と「港股通」(上海市場を通じて香港株の売買が可能になる措置)は一日あたりの限度額が4倍に拡大された。適格国内機関投資家(QDII)の限度額が3年ぶりに引き上げられ、上海と深センの「QDLP」(個人富裕層向けの適格国内有限責任組合)と「QDIE」(適格国内投資家の国外投資の試行)の試行限度額がそれぞれ50億ドルに引き上げられた。
人民銀も人民元国際化のために道を切り開いている。潘功勝副総裁は5月7日に行われた18年越境人民元業務作業テレビ電話会議で、「『自国通貨優先』を堅持する」と述べ、その数日前には、人民銀の人民元越境決済システム(CIPS)の第2期が全面的に始動し、銀行間取引市場の夜間取引も始まった。中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副学院長は、「金融分野における人民元の使用範囲を拡大し、同じように人民元の国境を越えた使用もさらに推進していく」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年5月14日
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