中国外交部(外務省)領事司の黄屏・司長によると、中国と海外の人的交流は拡大を続け、中国大陸部から出国した人の数は同年、延べ9818万7千人に上った。また、中国の企業約2万社が世界の180の国や地域に進出した。2020年には、出国する中国人の数が延べ1億5千万人に達すると見込まれている。
2013年、海外で中国人が直面した危険や問題は主に以下の5種類に分けることができる。
(1)最近内戦の危機にある南スーダンのように、関係国の政局が不安定になるという問題で、現地の中国人や機構が危険にさらされるケース。
(2)事故。昨年2月にエジプトのルクソールで発生した熱気球墜落事故では、香港人の旅行客9人が犠牲になった。
(3)テロ事件。昨年9月には、ケニアでショッピングモール襲撃事件が発生し、中国人1人が死亡、1人が負傷した。
(4)社会の治安問題。例えば、強盗や窃盗などの犯罪行為により、中国人の身や財産の安全が危険にさらされることがある。
(5)中国人自身の問題行動。特に現地の法律や法規、風習、宗教的習慣などに従わないという問題だ。例えば、海外旅行中に象牙製品を違法に購入したり、イスラム国家にお酒などを持ち込むケースなど。
黄司長によると過去1年の間、中国外交部が調整を図ったり、海外の大使館や領事館に保護を要請した問題も4万件以上に上った。その中には、▽中央アフリカや南スーダンで情勢が悪化し、中国人の安全が脅かされた▽昨年4月に米国のボストン・マラソンで爆発事件が発生し、中国人留学生が犠牲になった▽昨年9月に中国の豪華客船・海娜号(Henna)が韓国のチェジュド(済州島)の地方裁判所に差し押さえられ、乗員・乗客2300人以上が身動きとれなくなった――といった重大なトラブル約120件が含まれている。外交部は、政府や地方、学校、企業、さらにインターネットや携帯のショートメッセージ、ガイドブック、主流メディアなどのルートを通して、「出国にはリスクが伴う。相応の対策を取ればそのリスクを軽減し、損失を少なくできる」ということを積極的に伝え、旅行者の意識を高めることで、問題を予防することにも努めている。
出国する中国人の規模が拡大を続けるにつれ、中国人が海外でトラブルに直面することが増加している。その一つの中国人自身の問題行動を見ると、一部の中国人観光客が海外で現地の民族や宗教などの習慣を守らないことがある。例えば、現地の皇室メンバーのイメージを損なう、現地の宗教的習慣を守らないなどだ。
また、現地の利益空間を独占するという行為もある。例えば、一部の中国人が海外でビジネスを展開する際、現地の従業員の権益を守らず、労働紛争に発展することがある。また、一部のアフリカの国では、中国人の商人が利益のために、現地人だけが従事する小規模の小売業を展開し、地元業者の経営圧迫につながっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年1月15日