学術誌「セル」のウェブサイトはこのほど、世界初の遺伝子改変サルが中国で誕生したと伝えた。同研究を進めたのは、南京医科大学生殖医学国家重点実験室、雲南省霊長類生物医薬研究重点実験室、南京大学の科学者だ。サルは霊長類の動物で、その遺伝子改変の成功はサルの疾患モデルの構築を促し、人類の疾患のシミュレーションを進め薬物研究のリスクを大幅に引き下げられる。将来的には人類の遺伝子疾患を治療できるようになる可能性がある。科技日報が伝えた。
研究者が採用したのは、最新の遺伝子改変技術のCrisprで、ターゲットとなるDNAに植込・削除・改変を実行できる。これはコンピュータのプログラミングのように、ある種の遺伝子を書き換えることができ、かつ成功率も高い。中国人科学者の今回の実験は、同技術を利用すれば霊長類の遺伝子を効率よく、かつ正確に改変でき、そして個体を育成できることを証明した。
科学者はまずサルの胚葉に特製のRNAを注射し、「編集ツール」となるCas9エンドヌクレアーゼを変異ポイントに導き、3つの遺伝子の改変を進めた。一つ目は代謝を調整する遺伝子のPpar-γ、二つ目は免疫機能を調整するRag1、三つ目は細胞を調整し性別を決める遺伝子だ。科学者は180余りの単細胞器官のサルの胚葉に対して、この三つの遺伝子の改変を実施した。15の胚葉のゲノムDNAの解析後、研究者は8つの胚葉の二つの標的遺伝子に、同時に変異が生じる兆しを確認した。それから遺伝子修飾後の胚葉をメスのサルの体内に埋め込み、双子のサルを産ませた。この双子のサルのゲノムDNAを検査したところ、確かに二つの標的遺伝子に変異が生じていた。
しかし子ザルはまだ生後間もないため、遺伝子改変が生理・行為面の影響を及ぼすかについては不明だ。3年後に大人になってから、これらの遺伝子改変が次の世代に影響を与えるかどうかについて観察する必要がある。研究者は、すべての遺伝子が人類の疾患と関連しているが、Ppar-γとRag1の変異は、特定の疾患の総合的な症状を示すものではないと説明した。今後さらに研究を進め、これらの動物のすべての細胞の中に、この変異が存在するかを調べなければならない。各種の変異と関連する、その他の人類の疾患モデルを構築するためには、さらに多くの取り組みを進める必要がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年2月19日