勤務先の会社の社長から言われた、「微信(スマホ向けチャットアプリ)でも仕事ができる」という一言をきっかけに、北京で働くホワイトカラーの魏康さんは、20以上のチャットグループに次々と引きずり込まれた。上司がグループで発言したことを魏さんが読まなければ、仕事に支障をきたしてしまう。彼にとってさらに耐えられないのは、午後10時を回っても、上司があれこれと指示を出してくることだ。また、休日や祝祭日でも、同僚と仕事に関するやり取りをしなければならない。中国青年報が報じた。
微信の登場によって、人々の生活に利便性がもたらされた。しかし同時に、幾分かの煩わしさも生じた。「微信が世に出回ってからというもの、仕事が常に自分につきまとい、自分のプライベート空間を侵食しつつある」と、多くの人が不平を漏らすようになった。
先週、中国青年報社会調査センターが、世論調査の民意中国網とマーケティングリサーチの北京益派市場咨詢有限公司(益派諮訊)を通じて、2086人を対象とした調査を行った。これによると、「微信を利用することで業務効率が高まった」と答えた回答者は53.3%に達した。一方、「微信によって、オンとオフの境界線を曖昧になった」と指摘する人も47.3%いた。
北京のテレビ局で働く劉麦琪さんは、計5つの仕事関連のチャットグループに入っている。プロジェクトごとに分かれている各グループは、参加メンバーの顔ぶれも異なる。進行中のプロジェクトのグループでは、ひっきりなしに情報のやり取りが行われる。
劉さんは、「仕事に関する情報があまりにも多すぎて、非常に疲れる。やっと仕事が終わって時計を見ると、いつも深夜になっている。その後も、仕事関連の情報をチェックしなければならない。時には、早朝から、仕事上のトラブルに襲われる。まるで、仕事という蟻地獄にはまったまま、永遠に抜け出せないような気分だ」と心境を語った。
回答者のうち、「毎日、微信に1時間以上費やす」と答えた人は53.2%に上った。「微信でやること」については、「友人とチャット(68.1%)」が最も多く、「親友の投稿チェック(62.8%)」「各種情報の獲得(51.2%)」がこれに続いた。「いつも微信を利用して同僚と業務上のやりとりをする」人は28.5%に達した。
「微信が仕事にもたらす影響」について、「微信は極めて便利なコミュニケーションツールで、これによって業務効率が高まった」とした人は53.3%に上ったが、「エネルギーが分散してしまい、かえって業務効率が落ちた」と感じている人も25.4%いた。また、「微信によって、オンとオフの境界線を曖昧になった(47.3%)」「微信によって自分のプライベート空間の一部が侵食され、なくなってしまった(32%)」「微信によって、違った形での労働時間が長くなった(23.8%)」「仕事上の圧力が増大した(11.3%)」などの意見も挙がった。
劉さんは、「簡単に連絡がつくため、仕事が停滞することを弁解する口実がとても探しづらくなった。微信によって、仕事上の圧力がより大きくなり、形を変えた『残業』をしている気がする。個人的には、オンとオフはきっちりと分ける必要があると思う」と語った。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年5月27日