2014年9月11日  
 

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【第140回】知財ライセンスの独禁法問題(三) (2)

人民網日本語版 2014年09月11日10:47

② 競争者相互間の制限

しかし、上記判断は、ただ競争者間ライセンス契約において、競争者一方のみへの制限行為に限られ、もし競争者相互間の制限行為になれば問題になる。例を挙げると、A社とB社は競争者であり、かつA社が保有する技術XとB社が保有する技術Yとは互に代替可能技術であり(又は二つの技術でそれぞれ生産される製品が競争製品である)、この場合、A社がX技術をB社に、B社がY技術をA社にそれぞれライセンスし、もし相互に地域制限、販売先制限などを約定するならば(例えば、A社にY技術の使用、製品販売を北京地域のみに、B社にX技術の使用、製品販売を上海地域のみに要求すれば)、独禁法により禁止される可能性が高く存在する。これは、結果としては、北京地域、上海地域でのX技術とY技術との競争及び二つ技術で生産される製品間の競争が減殺されうる。なぜかというと、競争者相互間のライセンス制限がない場合、A社がX技術を北京地域で使用できるが、Y技術を使用できない(B社の権利侵害行為に該当する)、北京地域にはそもそも代替可能両技術間、両製品間の競争が存在している。しかし、競争者相互間のライセンス契約の締結により、表面からみればA社が北京地域でX技術、Y技術を同時に使用できるが、コスト削減、利益最大化を求めるA社は、当然X技術、Y技術という相互に代替可能な技術を同時に使えない(生産ライン重複建設など)と考えられ、結果として北京地域でそもそも存在している競争が減殺されうる。この理由で、地域制限、販売先制限などを設けられる競争者相互間のライセンス制限は、一般的に偽装な市場分割カルテル(北京地域と上海地域の市場分割行為)と看做され、合理的な解釈がない限り(相当に困難である)、独禁法により禁止される可能性が高く存在する。

以上のことから、競争者相互間のライセンス制限行為は上記「募集稿」上の規定に該当し、競争者間の一方のみへのライセンス制限行為は、多くの場合、独禁法により禁止されない(知的財産法と独禁法のバランスとも考えられる)。しかし、実務上、相互間のライセンス契約か、一方のみへのライセンス契約かは、時々区別できない場合がある。例えば、X技術とY技術がお互いに代替可能な技術であるか判断しにくい場合、又は当事者がまず一方のみへのライセンス契約を締結し、一定の時間を経た後、再びもう一方のみへのライセンス契約を締結する場合、又はX技術がY技術の改良技術である場合など、これはケースバイケースで判断する必要がある。

 作者:周暘 錦天城法律事務所パートナー弁護士(早稲田大学法学研究科卒 法学修士)

 「人民網日本語版」2014年9月11日

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