経済の改善のため、安倍首相は3つの措置を打ち出した。大胆な金融政策と機動的な財政出動、労働力市場の改革によって、経済に活力を注入するものである。安倍首相は「女性の地位向上」を「アベノミクス」改革の重点の一つとしており、安倍首相はかつて、日本の女性は「資源の不足する島国でまだ十分に活用されていない資源」であると語っている。
▽長い道のり
だが日本では、男を重んじ女を軽んじる職場文化が根強く、安倍首相の計画を実現するためにはまだ長い道のりを歩む必要がある。
例えば安倍首相は2020年までに企業と政府の管理職の30%を女性が担うようにするとの目標を掲げている。これに対しては積極的に呼応しようとする企業もあるものの、企業界全体の反応は冷ややかだ。日本厚生労働省の発表した2013年度の雇用均等基本調査によると、管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合はわずか6.6%にとどまっている。安倍首相はさらに女性の政界入りも推進しているが、日本メディアの最近の調査によると、日本の女性議員の多くは公私ともに満足感を得られていない。
英市場調査会社キャピタルエコノミクスの日本マクロ経済専門家のMarcel Thieliant氏によると、OECDデータでは2011年の日本の高学歴女性の就業率が70%を下回っている。その他のG7メンバー国ではこの比率は80%を超えている。
Thieliant氏によると、第2次安倍政権の発足以来、日本人女性の就業率は確かに急速に高まってはいる。だが今後数年もこのスピードアップが続かない限り、女性の労働参加率によるGDP拡大の効果は望めない。日本の昨年のGDP成長率は0.3%だったが、Thieliant氏は今年も0.1%にとどまると見ている。
日本人女性の労働参加率が振るわないのは、既婚の高学歴女性が職場復帰に魅力を感じていないことも理由の一つとみられる。高等教育を受けたエリート女性の多くは財力の厚い男性に嫁いでいるため、家庭が経済的に恵まれているケースが多い。さらに日本企業の多くは男性が支配しているので、職場復帰の意欲は余計低くなる。