普段はお花教室だけではなく、中国映画のフラワーデザインを担当することもある片倉さん。フラワーアレンジメントの難しさについて、「お花は生き物で、たとえ同じお花でもそれぞれもっている姿や雰囲気がある。お花をただの道具や材料とせず、自分がどう表現したいかよりも、如何にその花がもっている魅力を輝かせるか、それが一番難しい」と語る。生徒たちも初級、中級とレベルが上がるにつれ、そうした奥深さを感じるようになり、片倉さんの意味や思いを理解していくという。当初週に2回だった教室は、今では週に3回となり、そのほとんどが中国人の生徒が占めるようになった。
多くの中国人がフラワーアレンジメントを学ぶようになった理由について片倉さんは、「生活が豊かになり、お金や物欲的なものばかりでなく、精神的に自分を満たし潤いをもたらしてくれる文化を求める人が増えてきている。その中で、美意識を磨き、教養にも繋がるお花をを選ぶ人も増えているのではないか」と分析している。そのため女性だけではなく、暮らしを豊かにし、新たな自己表現の方法をみつけようと中国人男性も教室を訪れる。「以前は真っ白で何もなかった部屋が、今では緑に包まれた温かな部屋になった」(若い中国人女性)、「生活に彩りが添えられた。妻も私の作品を喜んで部屋に飾ってくれるし、写真をネットでもシェアしている」(中年の中国人男性)、「ここに来るまで少しイライラすることがあったが、花が私を落ち着かせてくれる」(若い中国人女性)。教室内は活気に満ち溢れていた。
「私にとってお花は友人。お花は生き物で、何かを伝えるものがある。だから贈る、贈られるとその気持ちが花を通じて伝わる。他のプレゼントにはない何か特別なエネルギーが花にはある」と片倉さん。自らが学んできた日本の技術や美意識といったものを、よりたくさんの方と共有したい、そのためにこれからも努力を続けたいと今後の意気込みを語った。(岩崎元地)
「人民網日本語版」2015年9月16日