ドイツ放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトによると、フォルクスワーゲン(VW)のスキャンダルを受けて、米国の関連機関がさきに発覚した問題とは別に、排気ガス排出制御ソフトの調査を進めている。このソフトは主に2009年以降に使用されたディーゼルオイルエンジンに搭載されており、これを搭載することで排ガステスト時に排出量を低下させることができる、いわゆる「排ガスコントロール装置」だという。中国日報網が伝えた。
米国の調査の範囲がさきの不正ソフト事件の範囲を超えたとの情報について、VW米国法人のマイケル・ホーン社長兼最高経営責任者(CEO)は8日、米国議会で行われた公聴会でこれを認めた。ホーンCEOは米国議員に向かい、「VWは2016年度製造のディーゼル車についての認可申請を撤回した。米国の環境保護機関が一連の型番の自動車に搭載された排出ガス制御補助装置(AECD)について調査を求めているからだ」と述べた。
AECDは利用が認められた排気ガスの制御手段でありながら、不正ソフトでもあり、現時点では評価を確定することができない。
▽VWのスキャンダルでドイツブランドの価値が1910億ドル低下
スペイン紙「エル・ムンド」のサイトが9日に伝えたところによると、VWの排ガステストをめぐるスキャンダルはVWのブランドイメージを損なっただけでなく、ドイツの工業やブランドにも影響を及ぼしている。
ブランド財務コンサルティング公司がまとめた年度報告では、100カ国についてその信頼度が財務に及ぼす影響を評価し、VWの排ガステストのスキャンダルがドイツのブランドイメージに与えた経済的損失を分析した。今年に入ってから現在までの間に、ドイツブランドの価値は1910億ドル(約22兆8932億円)低下して、4兆7千億ドル(563兆3420億円)になったという。
VWのスキャンダルは好調だったドイツの年度見通しを粉砕した。同公司の調査によると、15年のドイツブランドの世界的な評価はもともと「かなりよかった」。実際、ここ数カ月間はドイツ政府のシリア難民への対処が評価されて、ドイツのイメージは大幅に好転していた。同公司の調査によると、14~15年にVWのブランド価値は270億ドル(約3兆2362億円)から310億ドル(約3兆7156億円)に上昇し、信頼度が最高レベルの自動車ブランドとなっていた。だが現在のブランド価値は100億ドル(約1兆1986億円)に低下し、スキャンダルによって長年にわたり積み上げてきたものが一瞬で崩れ去ったことがわかる。ドイツも国別信頼度レベル番付で、トップの座をシンガポールに明け渡した。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年10月13日