商務部(商務省)の沈丹陽報道官は、17日に開かれた定例記者会見で、ここ2年で日本の対中実質投資額が減少傾向にあることに対し見解を述べた。中国経済網が伝えた。
日本の対中実質投資額は、2014年に38.8%減少し、今年1-10月期も25.1%減少している。沈報道官は、減少の要因は複雑で、外部の要因も日系企業自身の要因もあるとした上で、具体的な要因を次の4つにまとめた。
1つ目は、近年、人民元が持続的に上昇しているのに対し、日本円は下落しているため、日系企業の対中投資コストが高くなり、輸出型日系企業の競争力が弱まっていること。
2つ目は、目下中国経済は「新常態(ニューノーマル)」へと移行しており、経済成長速度もやや緩やかとなっているが、労働力や土地といった面でのコストは持続的に上昇しており、一部日系企業は中国経済の行き先に懸念を抱き、対中投資に対し傍観的な姿勢を取るようになっていること。
3つ目は、日本の対中投資は早い段階から始まっており、多くの大手企業が中国で企業を設立し、これまで比較的望ましい収益を上げてきた。現在中国に投資している多くの日系企業は中国での企業の収益増加に重点を移行していること。
4つ目は、各国企業が積極的に対中投資および中国現地企業の台頭につれ、中国市場の競争は日増しに激化し、技術力や競争力が不足している、あるいは経営上問題のある一部日系企業は、中国市場からの撤退を余儀なくされていること。
以上4点の他、日系企業の対中投資に対する今後の見通しについて沈報道官は、「引き続き様子をみていく必要がある」としつつ、先日日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表した『日本企業の中国における事業展開の現状と展望』に触れ、「日本の経済界は依然中国での投資を非常に重視している」と述べた。
沈報道官はまた、「商務部は対中投資協力において戦略的視点と豊富な経験を有する日本の企業が、技術や管理といった面での優位性を発揮し、『13次五カ年計画』期間における経済構造調整、成長モデル転換といった重要なチャンスをつかみ、中国市場をさらに開拓し、とりわけ中国企業とのグリーン・低炭素、省エネ・エコ、電子商取引(EC)、高齢者産業、ハイテクといった新たな分野での投資協力を積極的に展開し、中日経済貿易協力と両国経済の歩調を合わせたモデルチェンジ、グレードアップが実現できるよう推し進めていってもらいたい」と述べた。(編集IM)
「人民網日本語版」2015年11月25日