▽単独で戦う
日清の公式サイトをみると、日清は今麦郎との合弁会社以外にも、1990年代に子会社を設立しており、成熟したインスタントラーメンブランドを抱えていることがわかる。広東順徳日清食品有限公司は94年、上海日清食品有限公司は95年に設立され、主に「カップヌードル」、「日清焼きそばU.F.O」、「炒面大王」、「出前一丁」などのブランド麺の製造を手がける。
日清のこのたびの撤退について、日清も今麦郎も友好的な話し合いの結果だとしているが、インスタントラーメン業界のウォッチャーは、「中国インスタントラーメン産業の変化にともない、両者の戦略に食い違いが生じたことが、双方の提携解消の根本的な原因とも考えられる」と話す。
匿名の業界関係者は、「インスタントラーメン産業の2大大手とされる統一と康師傅との低価格競争が終わり、国内インスタントラーメン産業は高利益、高級化の新たな発展段階に突入した。製品の構造と市場での配置をみると、日清の自社製品の位置づけは高級品で、一線都市での配置を中心に据えるが、今麦郎が見据えるのは二線都市と三線都市で、高級品市場には足を踏み入れようとしない。日清にとってみれば、インスタントラーメン産業の競争の激化を背景として、合弁会社から身をひき、高級化路線に専念することが、競争の有効な手段であることは間違いない」という。
同関係者は、「10年前の日清と今麦郎との協力は国内インスタントラーメン市場の発展の潜在力と今麦郎の投資価値を見越してのことだった。だが今、産業のトップ企業に押され、今麦郎は経営が苦しく、投資価値も減少傾向だ。この時期に独自路線を探ることは、日清にとって賢明な選択だといえる」と指摘する。