真の成形力には、中国のような新興国の貿易の活力や、TPP参加国を含む各国の多元的な利益の要求も含まれる。TPPには、この2つの要素が明らかに反映されていない。
TPPに中国を排斥する意図があるかどうかについて様々な憶測が飛ぶ中、オバマ氏は何度も「21世紀のルールを、中国ではなく米国が決める」と繰り返し語り、そういった意図が確かにあると強調している。ワシントンの物言いは非常に率直であり、中米間の正常な競争を超える戦略的な貿易の「グレートゲーム」を引き起こすことも構わないようだ。
しかしそういう点から考えれば、TPPは米国が「主導」する21世紀の世界経済を保障するにはまだまだ足りない。まず、TPP参加国にはそれぞれの利益というものがあり、TPPはこれらの国と中国との貿易を制限できない。これらの国が中米の間でどちらか1カ国だけを選ぶわけがない。次に、米国の実力が相対的に低下していることは大きな流れであり、多くの国をTPPのルールに縛り付ける能力にも限りが見えている。ゆえに、TPPを世界が未来に向かう新たな原点にすることは難しい。
米国の経済力と総合力が引き続き力強く成長し、比類のない牽引力でも形成しないかぎり、ブルドーザーのように旧世界を更地に戻し、米国が一から真新しい世界を建設することなど無理なのだ。
中国はルール制定の面ではしばらくは米国に敵わないだろう。中国が優位に立てるかどうかは、伝統的な意味で「経済をうまく運営」できるかにかかっている。中国の経済成長と拡張が順調に進めば、そこから新たに生まれる経済量と貿易のチャンスは世界的に見ても最も突出している。TPPは必ずや、何らかの形で中国のニーズと影響力に屈服することになるだろう。