人民日報の取材を受けるスティーブン・ローチ氏(右)(撮影 辺紅)
欧州は過去8年間、ほぼゼロ成長だった。EUは今もイタリア、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、アイルランドの債務問題の処理をしており、さらに銀行問題も抱え、財政政策の協調も完了していない。ユーロ安は進んだが、EU経済の成長を促進したわけではない。
中国は貯蓄を減らし、支出を増やす必要がある。中国経済が減速しているのは、世界経済が減速し、中国の輸出に大きな影響を及ぼしているからだ。また、中国政府の政策調整で、製造業からサービス業へ、輸出から消費へと転換していることも原因の一つだ。こうした構造調整は必然的に経済減速を招く。中国経済が今後も減速し続けるという見方があるが、私は賛同しない。減速の可能性については今後も注目し続けるが、私は中国経済に対して楽観的な見方をしている。
【記者】:各国の経済をどう評価するか?
【ローチ氏】:最も成功していないのは欧州と日本だ。米国もここ数年しかるべき成果を上げられていない。中国は消費型経済への転換という戦略面で進展を遂げている。より多くの進展が得られることを望む。
米国は、市場と経済の下支えを金融刺激策に頼りすぎている。労働生産性は明らかに低下しており、これを十分に重視しなければ経済はさらに低迷するだろう。現在は刺激策を減らし、長期財政政策にもっと取り組むべきだ。米国人は近視眼的で、来週のことばかりに注目し、数年後、数十年後を見ようとしない。重要なのは赤字を減らし、貯蓄を増やしてベンチャーキャピタルに資金を提供し、インフラを建設し、製造能力を強化し、労働生産性を高め、米国の競争力を高めることだ。
【記者】:中国の世界経済成長に対する貢献についてどう評価するか?
【ローチ氏】:世界経済に対する中国の貢献は、依然としていかなる主要エコノミーよりも大きい。過去10年間、中国の世界経済成長に対する寄与度は主要エコノミーの寄与度の2倍以上だ。現在その差は縮まっており、中国が占める割合も小さくなっているが、成長率が6.5%〜7%、たとえ6%であっても、世界経済成長への寄与度はその他の主要エコノミーの寄与度の総和を上回る。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年3月14日