開放による改革・発展の促進を堅持した。対外貿易の安定化に努め、輸出割戻し税分担の仕組みを見直し、輸出入段階での料金徴収を整理・規範化し、貿易円滑化の水準を高め、輸出構造の好ましい変化をもたらした。外商投資(外国企業・外国投資家からの投資)の制限条目が半分に減り、届出制に基づく管理が95%以上のケースで実施され、実質外資利用額が5.6%増の1263億ドルとなった。非金融分野の対外直接投資額は14.7%増の1180億ドルであった。上海自由貿易試験区の経験を広め、広東自由貿易試験区、天津自由貿易試験区、福建自由貿易試験区を新設した。人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)通貨バスケット入りした。アジアインフラ投資銀行(AIIB)が正式に設立され、シルクロード基金が運営を開始した。中韓自由貿易協定(FTA)と中豪FTAを締結し、中国・ASEAN自由貿易地域(ACFTA)のアップグレード交渉の成果たる「議定書」に調印した。「一帯(ベルト)一路(ロード)(シルクロード経済ベルトと21世紀・海のシルクロード)」建設の成果が現れ、生産能力をめぐる国際協力のペースが上がり、高速鉄道や原子力発電など中国製設備の海外進出に大きな進展があった。
(3)質・効率の向上に照準を定め、産業の革新・高度化を推進した。革新駆動型発展戦略の要綱と意見(ガイドライン)を策定・実施し、大衆による起業・革新の促進政策・措置をうち出し、「Internet+」行動計画を着実に実行し、経済発展の新たな原動力を増強した。今や大勢の創客(メイカーズ)が革新・起業の道を進んでいる。われわれはまた、農業支援政策を充実させ、農業発展パターンの転換を促進した。さらに、工業の伸びの鈍化や企業収益の低下に対処すべく、われわれは新興産業の育成と在来産業の改革・進化の両方に力を入れた。「中国製造(メード・イン・チャイナ)2025(中国製造業10ヵ年計画)」を実行に移し、国家新興産業ベンチャー投資誘導基金と国家中小企業発展基金を創設し、国家自主イノベーションモデル区を増やした。過剰生産能力の解消に積極的に取り組み、企業の合併・再編を推し進めた。この3年で、製鋼・製鉄9000万トン以上、セメント製造2億3000万トン、板ガラス製造7600万重量箱以上、アルミニウム電解製造100万トン以上分の旧式生産能力を廃棄した。生産者向けサービス業と消費者向けサービス業の急速な発展を促進した。省エネ・排出削減と環境保護にも尽力し、各般の拘束的指標を超過達成した。温室効果ガス排出削減の自主行動目標を公表し、気候変動をめぐる国際交渉がよい成果を上げるよう促した。
(4)発展の新境地の開拓を見据え、地域間の調和発展と新しいタイプの都市化を促進した。東部、中部、西部、東北地区の「四大重点地区」の調和発展を引き続き推し進め、「一帯一路」建設、京津冀(北京市・天津市・河北省)地区の協同発展、長江経済ベルト発展の「三大戦略」を重点的に推進し、インフラ、産業配置、生態環境保護などの面で重要プロジェクトを数多く実施した。チベット自治区、四省(青海・四川・雲南・甘粛)のチベット族居住区域、新疆ウイグル自治区の発展を促進する政策措置を策定・実施した。戸籍制度の改革を推進し、居住証制度をうち出し、都市部のインフラ整備を強化した。新しいタイプの都市化は新たな成果を収めた。
(5)人々の福祉の増進をしっかりと踏まえて、社会諸事業の改革と発展を推し進めた。財政が逼迫している状況下、民生の保障を引き続き強化した。新たな政策をうち出して大学新卒者と就職困難層の就職・起業問題を重点的に解決した。都市部の保障タイプ住居(低所得者向けの安価な住宅)プロジェクトでは772万戸を基本的に完成させ、バラック区の住宅改築では601万戸着工し、農村の老朽危険家屋の改築では432万戸を完了させ、住宅難に苦しむ多くの世帯の夢をかなえた。設備や環境に不備がある貧困地区の義務教育学校の運営条件の改善を加速し、小・中・高等学校教員の職階評定制度の改革をさらに進めた。貧困地区の農村からの重点大学入学者がさらに10.5%増えた。県級公立病院総合改革を全面的に展開し、住民向け重大疾患保険を広め、重大・特別重大疾患医療救済制度、生活困難障害者向け生活補助金制度、重度障害者向け介護補助金制度を確立した。最低生活保障金、優遇扶助対象者給付金、企業定年退職者基本養老金などの基準額を引き上げ、政府機関・事業体の養老保険制度の改革推進と給与制度の十全化に取り組んだ。基本的公共文化サービスの整備を強化した。広範な人民大衆がより多くの獲得感を得た。