――人々の福祉を持続的に増進し、全人民が発展の成果を共有できるようにする。人民を中心とする発展思想を堅持し、基本的民生保障における脆弱部分の補強に努め、「共同富裕」に向けて着実に前進していく。貧困脱却の堅塁攻略戦に断固として勝利し、わが国現行の基準で農村貧困人口にあたる人々を貧困から脱却させ、貧困県にあたる県にもれなくこの不名誉な呼び名を雪(そそ)がせ、地域的な貧困の集中を解消する。国の基本的公共サービス項目リストを作成する。より公平でより持続可能な社会保障制度を確立し、十全化する。義務教育学校の標準化、高等学校段階の教育の普及、世界トップレベルの大学・学科づくりなどのプロジェクトを実施し、生産年齢人口の平均就学年数を10.23年から10.8年に引き上げる。都市部の新規就業者数を5000万人以上とする。所得分配制度をより完全なものにし、所得格差を縮小させ、中間所得層の割合を高める。住宅保障体系を充実させ、都市部バラック区の住宅を2000万戸改築する。「健康中国」の建設を推進し、平均寿命を1歳伸ばす。人口の高齢化に積極的に対処する。現代的公共文化サービス体系を構築し、公民道徳建設、中華文化伝承などのプロジェクトを実施する。われわれは人民の物質的生活だけでなく精神生活もいっそう豊かにしていかなければならない。
第13次5ヵ年計画期の経済・社会発展に関する活動を首尾よく進め、小康社会の全面的完成という目標を達成するためには、以下の三点をしっかりと押さえなければならない。①発展という最重要任務にしっかりと力を入れ、手を緩めないこと。発展こそ絶対的道理であり、わが国のあらゆる課題を解決するカギである。今後5年は「中所得国の罠(わな)」を克服する重要な段階であり、諸々の矛盾やリスクが明らかに増える。発展は、流れに逆らって舟を進めるのと同じであり、前進しなければ後退してしまう。経済建設という中心をいささかも揺るぐことなく堅持し、科学的発展を推し進め、リスクや試練に適切に対処して、中国経済という巨船を遥かな遠洋へと突き進ませなければならない。②構造的改革を強力に推進すること。現在、発展における総量の問題と構造的問題が並存しており、後者が一段と際立っているため、改革の方法で構造調整を推し進める必要がある。総需要を適度に拡大するとともに、供給側の構造的改革に重点的に取り組み、「引き算」と「足し算」をともに用いて、無効な供給とローエンドの供給を減らし、有効な供給とミドル・ハイエンドの供給を拡大し、公共財と公共サービスの供給を増やし、供給と需要が経済発展を相乗的に促進するようにし、全要素生産性を高め、社会的生産力を絶えず解放し発展させる。③発展の新旧原動力のバトンタッチ・転換を速めること。経済発展には、新旧原動力を切り替えるプロセスが必ず伴うものである。つまり、旧原動力が弱まり出すと、新原動力の出現と旧原動力の形態転換とが必要となり、新たな「ダブルエンジン」が形成され、経済はようやく持続的成長と新たなステージへの飛躍の推進力を得る。現在、わが国の発展はまさにこのような肝心な時期にあるため、新原動力を大きく育て上げ、新経済の発展を速めなければならない。新技術・新産業・新業態の急成長を促し、体制・仕組みの刷新によってシェアリングエコノミーの発展を促進し、シェアリングの場を構築し、ハイテク産業、現代サービス業などの新興産業クラスターを大きく成長させ、パワフルな新エンジンをつくり出す必要がある。情報ネットワークなどの現代技術を活用して、生産・管理・マーケティングモデルの変革を促し、産業チェーン・サプライチェーン・バリューチェーンを再構築し、旧原動力の改良・進化をはかり、そこから新たな生気と活力を引き出す。
根本から言えば、発展を生み出す限りない力は人民大衆のなかに秘められている。9億を超える労働力人口、1億を超える高等教育を受けた人材と専門的技能を持つ人材こそ、われわれの最大の資源であり、強みである。新旧原動力の転換を実現し、発展を人的資源・人材資源と革新により多く頼る方式へ移行させることは、産みの苦しみを伴う調整のプロセスであり、希望に満ちた進化のプロセスでもある。この関門さえ突破すれば、中国経済は必ずや不死鳥の如くよみがえり、再び光り輝くことができる。
今後5年を展望すると、われわれは必勝の自信に満ちる。小康社会の全面的完成という目標は期限までに達成でき、人々の生活はよりよくなり、中国の特色ある社会主義事業の前途は必ずより明るいものとなる。
Ⅲ. 2016年の重点活動
今年度は、小康社会の全面的完成に向けた決勝段階の最初の年であり、構造的改革の推進における堅塁攻略の年でもある。政府活動を順調に進めるには、以下のことが必須である――中国の特色ある社会主義の偉大な旗印を高く掲げ、中国共産党第18回全国代表大会と第18期中央委員会第3回、第4回、第5回全体会議の精神を全面的に貫徹し、鄧小平理論、「三つの代表」重要思想、科学的発展観を導きとし、習近平総書記の一連の重要講話の精神を深く貫徹し、五位一体(経済建設・政治建設・文化建設・社会建設・エコ文明建設)の総体的配置と「四つの全面(①小康社会の全面的完成、②改革の全面的深化、③全面的な法に基づく国家統治、④全面的な厳しい党内統治)」の戦略的配置に従い、改革開放を堅持し、新たな発展理念による発展のリードを堅持し、「安定を保ちつつ前進を求める」という活動全体の基調を堅持し、経済発展の新常態に適応し、マクロ政策による経済の安定化、産業政策による的確な方向付け、ミクロ政策による市場の活性化、改革政策による改革の徹底、社会政策による民生最低ラインの保障という全体方針をとり、安定成長と構造調整のバランスをしっかりと押さえ、経済の動きを合理的な範囲内に保ち、供給側の構造的改革を重点的に強化し、発展の新たな原動力の育成を急ぎ、従来の比較優位の改良・進化をはかり、過剰生産能力の解消、過剰在庫の消化、過剰債務の縮減、コストの引き下げ、脆弱部分の補強にしっかりと取り組み、民生の保障を強化し、リスクを確実に防止・抑制し、がんばって第13次5ヵ年計画期の経済・社会発展の幸先のよいスタートを切る。