人民網:西村監督と斎藤氏は随分長いお付き合いだと伺っていますが、どのように知り合われたのでしょうか?
斎藤工:西村監督は監督以外にも特殊造形のエンジニアでもあります。西村監督とは最初、俳優である私と出演した作品の造形エンジニアとして出会いました。もう10年くらい前の話です。
西村監督:彼はその作品の後半はずっと腕が切れている役どころでした。そこで肩の位置に偽の腕をつけて、本当の腕は背中の後ろに隠さなければなりませんでした。演技の間中はもちろんですが、休憩時間でも彼はこの姿勢を崩しませんでした。私はすごく真面目な俳優だと感心し、その頃から次第に親しく付き合い始めて、何度も一緒に仕事をするようになりました。
人民網:西村監督は斎藤氏を非常に高く評価されたのですね。では斎藤氏に質問ですが、ご自身と主人公の虎影にはどんな共通点があると思われますか?
斎藤工:西村監督の多くの作品では、裸になることもしばしばあるなど、その役柄がいつも「特別」であることが多いです。今度の西村監督の新作では、全身緑色の皮膚をした人物を演じることになりそうです。このように「虎影」以前の西村監督の作品はあるジャンルに特定された観客が多かったのですが、開幕式で西村監督が紹介していたようにこの「虎影」は東日本大震災後に作られた作品で、この映画にはより多くの人々に笑いを与えたいという監督の思いが詰まっています。そんな作品の主人公に選ばれたことを大変うれしく思っています。監督は演技について色々と要求しませんでしたが、自分らしさを出していきたいと感じたので、役柄との距離を無くすことが自分自身の作業だったと思います。