●小売業全体の低迷、ファストファッション消滅の運命を回避するのは難しい?
専門家は、「ファストファッションブランド全体が衰退している背景には、小売業界全体の落ち込みがある」とみている。
アパレル業界専門家の馬崗氏は、次のような見方を示した。
「一時期は市場で大きな利益を得たファストファッションブランドだが、小売業全体の低迷を跳ね返すほどの力はない。数年間におよぶ急成長を経て、ファストファッションブランドはすでに停滞期に入っており、販売ルート数は飽和状態に達し、消費者にとっての新鮮味や人気が再熱することはあり得ない。ファストファッションブランドは全く新しいスタイルで中国市場に参入した後、急速に店舗数を拡大し、中国人消費者に目新しさをもたらした。だが、いまやその目新しさも消え失せ、店舗数拡大による収入増も頭打ち状態になった。このため、当然のことながら業績悪化という結末を迎えている」。
業績が大幅に悪化したことで、多くのファストファッションブランドが次々と閉店に追い込まれている。2015年6月、GAPは北米市場の店舗総数の約4分の1にあたる175店舗を閉店すると発表した。同じく米国のファストファッションブランドForever21も、スコットランド・グラスゴーにあるフラッグシップショップの閉店を発表した。
●「命綱」の中国市場 各ブランドは二線・三線都市に着目
ファストファッションブランドは世界規模で大幅に衰退しているが、中国市場は引き続き、彼らにとって激戦地となっている。一線都市の店舗が飽和状態に達したため、各ブランドは二線・三線都市に照準を定め始めた。
GAPは、北米市場での店舗閉鎖・スタッフ削減の実施と同時に、中国市場の開拓に力を入れ始めている。同社は、「今年、中国の店舗を40店舗増やす」と表明している。ユニクロも、「今年も引き続き、中国の店舗を年間80店舗から100店舗のペースで新規開店する方針だ」としている。H&Mも今年、中国で60店舗から80店舗開店する見通しだ。
すでに中国で166店舗を展開しているZARAは、「当面、『縮小・慎重』な出店戦略を維持し、今後数年間は、6%から8%のペースで店舗を増加する方針だ。これらの新規店舗は、主に二線・三線都市に開店する」と表明している。馬氏はこれについて、「業績増を維持するため、ファストファッションブランドは、品種と店舗数を拡大し続ける必要がある。一線都市の店舗が飽和状態に達した今、新規店舗を二線・三線都市に構えるしか方法がない」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2016年4月26日