6月29日、90代の他の元強制労働者数人とともに記者会見に出席した張さんは、和解を拒み、訴訟を起こすことを表明した。同日、北京にある小会議室で、第二次世界大戦被害労働者原告弁護団によって記者会見が開かれた。
康弁護士が取り上げたのは至ってシンプルな問いかけだった。それは「三菱マテリアルは『和解協議』の全文を公表できるのか?」というものだった。
原告団弁護士は和解協議には「受入れ難い表現」があると語る。
康弁護士は「被害者である元強制労働者とその遺族から成る交渉団は、2014年4月に三菱マテリアルと正式に交渉を開始した。文書のやり取りは同年末まで続き、三菱マテリアルは和解協議の大まかな枠組みを提起した。しかし、原告と弁護団が詳細にチェックしたところ、受入れ難い『根本的な問題点』がいくつかあるという認識に至った」と語る。
また「三菱マテリアルは、和解協議文書において、きわめて曖昧な表現をしている。過去に日本の地方裁判所が認めている、戦争中に共同で策略、実施した強制労働行為が『日本の閣議決定に基づき中国人労働者を日本に連行した行為』と描写されていた。これは事実にそぐわない」と続ける。
さらに「元労働者が感情面で受入れ難い表現もあった。それは、三菱マテリアルが協議の中で自身を『雇用主』と位置づけていることだ。私は存命の元労働者がこの言葉を見て特に怒りの表情を見せたことを良く覚えている。彼は『会社との間にどこに雇用関係があったというのだ?我々は捕まえられて強制連行されたのだ。このような表現は絶対に受け入れられない』と言っていた」と語る康弁護士。
またこれらとも関係しているが、同文書では、賠償や補償については全く触れられておらず「中日両国の友好のため、元労働者に1人あたり10万元を支払う」と表記されていたという。
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