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「中年の危機」を深刻化させるSNS、若者への影響は少なめ

人民網日本語版 2018年06月15日14:42

社交メディア(SNS)の存在が人々の日常生活においてますます欠かせないものとなってきている昨今、SNSに心理的に依存しているという人も多い。年配の人々は、ハイテクによる影響をほとんど受けていない一方で、「00後(2000年代生まれ)」の新世代の人々は、小さい頃からSNSに取り囲まれた環境で育ってきたため、「どうしていいか訳が分からない」といった事態に陥ることはない。SNSによる影響を最も大きく受けているのは、「70後(1970年代生まれ)」や「80後(1980年代生まれ)」のように、ちょうど中年期に差し掛かった人々となっている。米定期刊行誌「人間行動におけるコンピュータ(Computers in Human Behavior )」に掲載された研究報告では、「中年層(30歳~49歳)がいわゆる『中年の危機』に直面して狼狽したとき、全盛期にあるSNSは、このような焦燥感をいっそう駆り立てる恐れがある。悪しき感情に襲われた場合は、一刻も早くスマホを手から離して、『他人のパーフェクトな生活』が自分にもたらすマイナスのエネルギーを極力遮断するよう心がけなければならない」と警鐘を鳴らしている。北京晨報が伝えた。

〇30―49歳にもたらされる影響が最も深刻

原因は他人のパーフェクトな生活と比べてしまうこと

今回の研究は、米テンプル大学の研究チームが750人を対象に実施した社会調査データを篩い分け分析する形で進められた。調査対象者は、年齢・性別・身体の健康状況・使用しているSNSの種類と使用頻度などの情報を提供すると同時に、かつて心理的に押しつぶされるような感覚に見舞われたどうかについて質問を受けた。彼らの心理的ストレスや憂鬱な気持ちなどの要素を考慮した結果、研究チームは、SNSが利用者に及ぼすマイナス影響について、18歳から29歳までの若者はそれほど大きな影響を受けないが、30歳以上の人々が受ける精神的なダメージはかなり大きく、一部の人は「中年の危機」を深刻化させるという事実を突き止めた。なかでも30歳から49歳の人々は、SNSを日常的に使用しており、メンタルヘルス上の問題が生じるリスクは2割前後に達している。

長く疎遠にしていた昔の友人との交流がSNSのおかげで復活するというのは、たしかに良い事ではあるが、時には、極めて大きなダメージをもたらす恐れもある。自分の今の生活が他人の生活より劣っていることを自覚したとき、マイナスの感情が生まれやすいからだ。実は、SNSで発信されるプライベートな生活というものは、本質的に現実そのものではない。圧倒的多数の人は、自分の良い面だけをSNS上に公開したいと望んでおり、それは、さまざまな「フィルター」を通して飾りたてられたいわば「他人の生活」なのだ。したがって、この基準にもとづいて自分の生活を比べると、再起不可能になるほど打ちのめされ、ストレスや憂鬱な気持ちといった感情が必ず沸き起こってくる。したがって、このようなネット上での「比較」は、決して客観的なものではないどころか、自己効力感(セルフエフィカシー)を弱め、メンタルヘルスを傷つける恐れさえある。

「00後」の若者がSNSの影響をほとんど受けないのは、彼らが小さい時からSNSに囲まれて大きくなり、彼らの生活全体がSNSの枠組みの中で成り立っていることによる。彼らは常に自分の生活を「モーメンツ(微信のソーシャル機能)」でシェアするだけではなく、SNS上で憂鬱な気持ちなどのマイナス感情を解放するため、社会的に孤立しているという感覚が生まれることなどあり得ないのだ。

しかし、中年層の多くは、「モーメンツ」の「一時訪問者」に過ぎない。彼らが「モーメンツ」で解放するストレスよりも、「モーメンツ」から吸収してしまう隠れたマイナス感情の方がはるかに多いため、SNSの影響を最も多く受ける年齢層となっている。

〇複数のプラットフォームを利用することでいっそう窮地に

米国の最新研究から、利用しているSNSの種類が多く人は、少ない人に比べ、憂鬱な気持ちや焦燥感を抱く確率が高いことが判明した。研究チームは、「このような現象が起きる背景として、まず、『もう身が持たない』状態に陥ることが考えられる。新着メッセージを知らせる音が、絶えず生活のリズムを乱し、各SNSを頻繁に切り替えることで、自分の精神状態も乱れてしまう。より多くのSNSに発信しようとすればするほど、SNS上でマナーを欠く、あるいは気まずい思いをする確率が高くなる。さまざまなSNSを使用することとマイナス感情を抱くことの関係性はすでに科学的に証明されているが、両者間の方向性についての議論については、現時点では定説はない」としている。

また、研究によると、自分と他人が一緒に写っている写真をシェアするのが嫌いな人は、孤立している傾向が高く、このような人は、憂鬱な気持ちや焦燥感に見舞われやすいという。

研究チームは、「現在の研究は、SNSの使用習慣とマイナス感情との関係性について言及しているだけで、SNSによってマイナス感情が生じることを断定するものではない。この研究の狙いは、SNSの使用習慣といわゆる『SNSうつ』との関係性について人々に関心を持ってもらい、過度の使用はできるだけ控えるよう注意を促すことにある」としている。(編集KM)

「人民網日本語版」2018年6月15日

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