春節(旧正月)後、中国の金融市場では「余額宝」(アリババ・グループのファンド投資サービス)を含むネット資産運用商品の収益率が低迷を続けているが、人々の資産管理に対する意欲は薄れていない。一部の人は「ネット+金融」が、銀行を潰すかもしれないと疑い始めているほどだ。「The European Times」の記事を引用し、法制晩報が伝えた。
楽観的な人は、「(余額宝は)金額の制限がなく、好きなだけ預金でき、携帯電話でいつでもどこでも稼いだ額をチェックでき、リスクもなく収益率も高い。これは人々にとって極めて魅力的だ」と考えている。しかし「そんなうまい話があるだろうか?」と考え静観する人も少なくない。余額宝が信頼できるか否か、問題があった場合ユーザーはいかに損失を回避するべきかについては、今後の経過を見守る必要がある。
米国と日本でもネット資産運用商品が販売されたことがあるが、いずれも「短命」であった。
◆米国のケース
・金融危機が発生、収益率が極端に低下
PayPal(ペイパル)は1999年に米国版の余額宝を発売し、オンライン決済機能と資産運用商品を融合させた。しかし同サービスのリリースから10数年後、PayPalは販売停止を宣言した。
米国東部華人社団連合総会の執行主席の黄克ソウ(ソウ=金+将)氏は、「資産運用商品のすべてにリスクが存在する。高収益率は投資を引きつける一つの手段だ。私は、ある仲の良い夫婦が資産運用商品を購入した結果破産し、不仲になったケースを知っている。米国は資本主義社会で、多くの企業は他人の金を集めるために、違法すれすれのことをする。米国にもこれを取り締まる法律がない。ネット資産運用商品は今のところリスクが見て取れないが、収益率そのものは上下に変動する」と指摘した。
黄氏は「米国版の余額宝は一つの戒めだ」と語り、ネット資産運用商品のリスクを懸念した。
米国版余額宝の年間収益率は最高で5.56%に達した。投資家にとって、銀行口座の預金は金利収入がゼロであったのに、これほど高い収益を誇る商品が登場したことは、まさに棚からぼた餅といったところだ。しかし2008年に金融危機が発生し銀行が倒産すると、米連邦準備制度理事会は超低金利政策を施行した。これにより米国金融市場のファンド収益率が0.04%まで低下し、ピーク値の5.56%の100分の1にも満たなくなった。これに管理コストと投資の金利を加味すると、PayPalは同商品の販売を停止するまで、すでに2年間に渡り自腹を切っていたことになる。