インターネット決済大手の支付宝(アリペイ)がうち出した事業規模が4千億元(約6兆7105億円)に上る銀行業務サービス「余額宝」は、取り締まりの是非をめぐって議論が起こっている。中国中央テレビ(CCTV)証券ニュースチャンネルの執行総編集長・首席報道コメンテーターを務める鈕文新氏は21日、「余額宝を取り締まる」という論考を発表し、余額宝は銀行にもたれかかる「吸血鬼」であり、労せずして2%の利益を手に入れていると指摘した。支付宝は、利益は0.63%に過ぎないとのコメントを出している。新京報が伝えた。
鈕氏によると、余額宝がダメージを与えているのは銀行だけでなく、中国社会全体の資金調達コストや中国全体の経済の安全性にも打撃を与えている。余額宝は金利市場を大きく揺さぶり、銀行の流動性を大きくゆさぶり、実業に従事する企業の資金調達コストを大幅に引き上げ、ひいては金融と事業との悪循環を激化させているという。
また鈕氏は、余額宝は価値を生み出しておらず、社会全体の経済コストを引き上げることで「漁夫の利」を得て、利益の2%は自分の懐に入れ、4-6%を1千万人以上の顧客に分配していると批判する。鈕氏によると、余額宝は銀行にもたれかかる「吸血鬼」であり、典型的な「金融界の寄生虫」だという。
鈕は次のように試算する。余額宝の事業規模4千億元の平均利益を6%とすると、利益は240億元(約4026億円)になる。このうち80億元(約1342億円、4千億元の2%)が余額宝と通貨ファンドの懐に入り、残りの160億元(約2684億円)は顧客に分配される。
だが支付宝は利益は2%に満たないとしている。支付宝が公表したデータによると、余額宝と天弘基金の通貨ファンド「増利宝」を合わせて、年間の管理費は0.3%、委託管理費は0.08%、販売サービス手数料は0.25%で、合わせると0.63%に過ぎず、鈕氏のいう2%にはならない。
一般的にいって、ファンドの管理費はファンド会社の利益になり、委託管理費は受託銀行に支払われる。余額宝の受託銀行は中信銀行だ。販売サービス手数料はサービス提供者に支払われるもので、直接販売方式を採る余額宝の販売サービス手数料は天弘基金に支払われる。