すぐ目の前に立派なポプラの木 まるでツリーハウスにいる気分
激しい雷雨が突然スコールのように降る天気が1週間ほど続いた北京に、一転して最高気温34度の真夏日が訪れた。北京では珍しくじめじめとした蒸し暑い日だ。だが、目の前の立派な枝振りを誇るポプラ(日本名:セイヨウハコヤナギ)の木の大きな幹や青々とした葉を見ていると暑さも半減し、逆に爽やかな気分になってくる。
ここは、大きなポプラの木を抱き込むようにして建てられたツリーハウス風カフェ「在樹上咖啡」。屋上テラスからは、軍事工場の跡地を利用した798芸術区の独特な風景を眺めることができる。ギャラリーを背景に煙突や鉄柱がいくつも立ち並ぶ景色は今自分がどこにいるのか忘れてしまうような無国籍感と非日常感に溢れている。
屋上テラスからは煙突や鉄柱が立ち並ぶ798芸術区の独特な風景が一望できる
このカフェを「北京のお気に入り」として紹介してくれたのは、明るい笑顔が印象的な石垣久美子さん(29)。日本人が経営する建築事務所「SA」が持つ、都市をテーマとしたギャラリー「TAM」(Town Art Museum)の運営を担当している。
実は、このカフェ、石垣さんが会社の面接を受けに北京に初めて訪れた際、会社のスタッフが連れてきてくれた場所なのだそうだ。
「北京のことは本当に何も知らなくて、地図上のどこにあるのかもわからないほどでした。実際来てみて、こんなに緑が多い街だったんだとすごく驚きました。屋上のテラス席に座ると、木の上でお茶を飲んでいる気分になって、とても気持ちの良い時間を過ごすことができました。こんなに素敵なカフェがある街なら長く住めるなと思った記憶があります」
798芸術区の規模の大きさにも驚かされた。「日本では作れない空間だと思いました。ここは、すでに1つの街ですよね。体育館ほどの大きさのギャラリーがあったり、作品の一つ一つが大きくて、凄いエネルギーに圧倒されました」。