ジェトロが2014年12月に発表した「在アジア、オセアニア日系企業実態調査」の結果によると、製造業のうち、在中日系輸出型企業の中国における事業拡大の願望は薄い。例えば、輸出の割合が比較的高い繊維業のうち、「中国において事業を拡大する計画」と答えたのは24.2%。57.6%が「現状維持」とした。また、18.2%が「縮小・移転・撤退」を計画していた。一方、現地市場での販売型企業は、中国市場開拓を強く願っている。例えば、食品業の62.5%が「中国における事業を拡大する計画」、35.4%が「現状維持」と答えた。運送機械器具業は、56.5%が「中国における事業を拡大する計画」、39.8%が「現状維持」と答えた。非製造業も同様の傾向にあり、現地市場での売上の割合が高い企業ほど、中国における事業拡大の願望が強かった。
田端所長は、「今後、日系企業の中国における事業に対する態度は、中国現地市場での販売と中国からの輸出の二極化になるだろう」と指摘した。
中国国内市場に注目
ジェトロは、アジア各国や各地域の情報サイトへのアクセス数を調べたところ、14年、中国サイトのアクセス数は391万回と、アジア各国の中でトップだった。つまり、日本企業はやはり中国に注目しているということだ。ただ、10年以降、中国のサイトのアクセス数は全体的に減少傾向にある一方、アジア全体のアクセス数は右肩上がりになっている。うち、14年は、タイ、ベトナム、インドネシア、インドなどの国の情報サイトのアクセスが10年を上回っていた。
田端所長は、「これは、『世界の工場』だった中国の変化と関係がある。以前、日本の企業は中国で資金を投じて工場を建設していた。魅力だったのは、安い人件費。中国で生産して、それを他の国に輸出していた。しかし、ここ数年、中国の製造業が生産チェーンにおいてシフトアップし、中国の人件費が上がった。これにより、人件費における魅力がなくなった。生産コストを抑えるため、人件費の安いインドやベトナムなどの地域に移る企業もある」と分析している。
また、田端所長は、「加工輸出における中国の強みが薄れ、中国国内市場に魅力を感じる企業も少なくなっている」と指摘した。ジェトロが14年12月に公表したデータによると、大型非製造業の現地市場での売上の割合は63.8%、非製造業は75.9%だった。日本企業は、中国の内需が形成する巨大な市場に依然として大きな期待を寄せている。
「人民網日本語版」2015年9月24日