専門家は次のように指摘する。「一部の廃棄携帯には環境に対し有害である可能性のある物質が少なくとも20種類含まれている。携帯は主にプラスチックの外装、リチウム電池、基盤、ディスプレーなどで構成され、一部の部品には鉛、クロム、水銀などの有害物質が含まれ、適切に処理を行わなかったり適当に投棄したりすれば、土壌や地下水に深刻な汚染をもたらすことになり、人々の身体や健康にとって非常に大きな脅威となる」。
だが適切に処理したなら、廃棄携帯は巨大な「宝の山」になる。携帯部品には多くの価値ある材料が含まれ、金が0.01%、銅が20〜25%、再生可能プラスチックが40〜50%に上る。廃棄携帯は回収後、工場で分解され、一部の部品は破砕される。メーンボードは金、銀、プラチナ、パラジウムなど希少性の高い貴金属の精錬に利用される。
▽携帯の回収には政府の指導と政策的支援が必要
孫会長は、「実際のところ、現在の携帯電話回収の最大の難問はやはり利用者自身にある。携帯は体積が小さく、冷蔵庫やテレビなどの大型家電のように場所を取らないことから、どうしても処理しなければならないということにはならない。多くの人は使わなくなった携帯を家に置いておき、引っ越しなどの時に捨てたり、不要品として売ったりするだけだ。こうして環境が汚染される可能性がどんどん高まる。政府部門はこうした方面の指導を強化するべきだ」と話す。
携帯電話回収に対する利用者のもう1つの懸念は、情報漏れのリスクだ。夏さんは、「今や人々はなんでもスマートフォンを利用する。銀行のキャッシュカードや身分証明書のような重要な情報が携帯に入っており、これが万一にもきちんと処理されず、漏れたなら、その結果は重大なことになる。売ってもわずかなお金にしかならないなら、家に置いておいたほうがいい」と話す。
専門家は、「こうした現象は携帯回収の監督管理の欠陥と関係がある。国内の中古携帯回収制度はまだ充実しておらず、2011年に施行された『廃棄電器電子製品回収処理管理条例』には冷蔵庫、テレビなどは含まれるが、携帯は対象に入っていない」と指摘する。
中古携帯の分解処理、貴金属の精錬、ゴミ処理などの工程にかかるコストは決して安くなく、現在は国の補助金もないため、関連企業は相当な困難に見舞われることになる。
孫会長は、「幸いなことに国はこの問題を重視し始めている。2014年に国家発展改革委員会資源節約・環境保護司は社会に対し、『廃棄電器電子製品処理リスト調整の重点(意見募集稿)』への意見を募集し、携帯電話を重点項目としてリストに組み込んだ。ここからうかがえるのは、携帯回収が『無戸籍状態』を脱し、正しい経営を行う企業の携帯回収事業展開を奨励するためのドアが開かれたということだ」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年10月12日