国家発展改革委員会対外経済研究所国際協力室の張建平室長は、「一方で、メードインチャイナの海外進出の最も輝かしい名刺である中国高速鉄道には、独自の知的財産権、全産業チェーンをカバーする優位性、最良のコストパフォーマンスが備わっている。また一方で、高速鉄道の建設はシステム工学であり、カバー面が広いため、推進プロセスで紆余曲折があるのはごく当たり前のことで、冷静に対処する必要がある」と話す。
▽貿易障壁は取り除かれるべき
高速鉄道は人々が都市から都市に移動するために早くて便利な選択肢を提供するだけではなく、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する有効な方法の1つでもある。ここ数年、中国は30カ国との間で高速鉄道をめぐる協力や話し合いを進めており、「相互に接続する協力圏」がトルコ、サウジアラビア、イラン、タイ、ラオス、マレーシア、ブラジル、ロシアなどの国に広がる。
アナリストは、「中国は関連国の高速鉄道建設の現実的なニーズと要望を理解しており、中国がもつ優位性を積極的に発揮して各国市場に進出している。これは中国企業の利益源を開拓拡大するためばかりではなく、当事国がインフラ水準を引き上げるのを支援し、現地の人々に経済発展の実質的な恩恵をもたらすことにもつながる。関係各方面は、中国が『相互利益・ウィンウィン』の考え方に基づいてさまざまな努力をしていること、一方的に相手側に何かしてもらおうと考えているのではないことを冷静に認識し、ビジネスで中国がみせる誠意に公平に対応するべきだ」と指摘する。
張室長はさらに進んで、「これまでの中米双方の枠組合意と進展ぶりを考えると、数多くの敏感な問題はすでに考慮済みのはずだ。突然の契約打ち切りは貿易摩擦の延長だといえる。注意しなくてはならないのは、高速鉄道産業は鉄鋼や電気設備など川上から川下に至る多くの製品を大量に必要とするのが常で、米国が今回のプロジェクトを頓挫させて自国の関連産業を保護し、この機会に中国製造業の勢いを挫こうという動機を抱いていることは実にはっきりしている。ただ現在、米国のインフラは相対的に後れており、こうしたやり方は米国国民の長期的な利益に合致しない」と分析する。
楊名誉教授は、「第二次世界大戦以降、米国はずっと国際社会で自由貿易と投資を推進して大きな利益を得てきた。特別にはっきりした技術的理由がない限り、米国が作った高速鉄道でなければ認可されないという強制力をもった制限は、隠された貿易障壁であるとの疑いを免れない。米国側は中国企業とウィンウィンの取引を進めることにもっと慣れるべきだし、中国側は国際投資や国際貿易における政治的リスクの存在を意識してこれを効果的にコントロールしなければならない」との見方を示す。(編集KS
「人民網日本語版」2016年6月14日
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