中国の愛情表現は、昔から極めて奥ゆかしく含みを持ったスタイルが続いてきた。両親に対して、「愛してる」と大きな声で堂々と愛情を表現することは、非常に難しい。金陵晩報が伝えた。
子どもが勇気を奮い起こし、心の準備を十分に整え、やっとのことで「愛してる」という言葉を両親に向かって言ったとしても、彼らからは「戸惑い」の反応が返ってくるだけだ。快活な母親は「ハハハ」と笑い飛ばし、朴訥な父親は「金欠か?」と問い返す。英語かぶれの父親なら「me too, me too(お父さんも)」と答え、瓊瑤(ロマンス小説作家)かぶれの母親なら「お母さんの方がずっとあなたを愛してるわ」と答えるかもしれない。典型的な頑固親父だったら、娘から「愛してる」と言われても、その言葉を冷たく拒み、「これから打ち合わせに行かなければ。馬鹿なことを言っている場合じゃない」と娘を叱りつける可能性もある。
○両親:心の底では、子どもの口からその言葉が出るのを切望
記者が29日、35歳から60歳の子どもを持つ市民10人に対し、子どもから「愛してる」と言われたことがあるかどうかを尋ねた。陳氏は、頭を横に振りながら「言われたことはない」と即座に答えた。陳氏がとっさに「ない」と答えたのと同様、子供から「愛してる」と言われた経験が無い人は多かった。
子どもから「愛してる」という言葉を聞きたいかどうかと聞かれた李さん(女性)は、「子どもたちは、そんなことを口に出すべきではないという雰囲気の中で大きくなった。成長してから口に出す訳が無い」とやや不本意な面持ちで答えた。だが、「それでも、その言葉を聞きたい。一度でも息子から聞くことができれば、もうそれで十分」と、自分の言葉を噛みしめながらうなずいた。