法制化された商業環境を構築し、公平・公正にすべての市場の主体を扱い、投資家の合法的な権益を法に基づき保護することを図り、国家発展改革委員会がこのほどマイクロソフト、クアルコム、ベンツのほか、日系自動車メーカー、不動産仲介業者などの企業に対して独占調査を行った。
調査の結果、国家発展改革委員会は20日、住友電気工業など電装部品メーカー8社と日本精工などベアリングメーカー4社が共同で価格操作を行ったとして、独占禁止法違反を認定。部品メーカー8社に8億3000万元(約137億円)の制裁金、ベアリングメーカー4社に約4億元(約66億円)の制裁金を科した。中国で独占禁止法が2008年に施行されて以来、最高の罰金額となった。
10年以上独占を行った
調査によると、住友電気工業、日立オートモティブシステムズ、デンソー、愛三工業、三菱電機、ミツバ、矢崎総業、古河電気工業の8社は00年2月から10年2月までの期間、競争を軽減し、最も有利な価格で注文を受けるため、日本でたびたび談合を行い、価格カルテルを結んでいた。
一方、日本精工、不二越、ジェイテクト、NTNの4社については、00年から11年6月の期間、日本や上海で企画した研究会や市場会議で、アジアや中国市場でのベアリングの値上げ時期や値上げ幅に関する情報交換を行い、その情報を基に各社が値上げを実施していたと認定された。>>>詳細へ
日立・不二越が自発的に「自首」、重要証拠の提供が反独占調査の突破口に
独占に関わる行為は主に海外で行われたため、証拠を見つけるのは調査員にとって容易ではない。日立は4月2日、発展改革委員会に対して「自首」し、独占合意の達成に関する状況を報告し、重要証拠を提供した。その後、不二越などの企業も次々と「自首」した。
・日立と不二越は制裁金免除
国家発展改革委員会の調査に全面的に協力し、自発的に報告し重要証拠を提供したため、処罰制度の減免の適用を受け、制裁金などのすべての行政処罰を最終的に免除されたという。
処罰された企業の反応
国家発展改革委員会の発表によると、事件にかかわりのあった企業はいずれも改善措置を提出している。第一に、中国の法律に基づいて販売政策と販売行為を直ちに改善する。第二に、企業の全人員に対して独占禁止についての研修を行い、従業員の行為が中国の法律の要求に合致するようにする。第三に、実際の行動を取り、過去の違法行為の結果を取り除き、競争の秩序を自発的に守り、消費者に利益を与える。
20日午前、国家発展改革委員会の李朴民・秘書長は国務院新聞弁公室でこの件について、「中国は法治国家であり、法律の前にすべての人は平等だ。中国企業であっても外資企業であっても、『反独占法』に違反したのならば、すべて取り締まりを受けるし、処罰を受けなければならない」と語った。>>>詳細へ
・関連企業の動き:レクサス中国、来月より部品値下げへ
レクサス中国法人は8月20日夜、国家および各地の発展改革委員会(発改委)の自動車業界の独禁法違反問題に対する関心に応じ、9月1日より一部の部品価格を平均で26%引き下げると発表した。
レクサスはメルセデス・ベンツ、ジャガー・ランドローバー、アウディ、BMWなどの高級ブランドに続き、自動車業界の独禁法違反調査を受け値下げをした5社目の高級車ブランドになった。レクサスが発改委に呼び出しを受けたという情報について、トヨタ中国法人の関係者は、「レクサス中国は関連部門の調査に全面的に協力している」と述べた。>>>詳細へ
中国の独禁法違反調査、日本叩きではない
中国が20日、日本自動車部品メーカーに12億元以上の罰金を科すと、海外は中国の「独禁法違反取り締まりの嵐」のエネルギーを強く実感した。海外メディアはこれが中国の「独禁法の歴史上、最高額の罰金」であることを強調すると同時に、処罰の対象となったのがすべて日本企業であったことに注意している。中国に「私心」はあるのだろうか?中国は国内外の企業を同列視することを再三強調しているが、「中国が外資を叩き、国内産業を保護している」という不満が漏れている。
このような憶測は、反論に耐えうるものではない。日本企業(中国)研究院執行院長の陳言氏は20日、環球時報の記者に対して、「今回の日本部品メーカー12社に対する独禁法違反調査は大々的であったが、日本企業を叩くためのものではなく、外資のみを調査したわけでもない。中国は昨年、貴州茅台集団と五糧液集団の独禁法違反を処罰し、粉ミルク業界の寡占についても調査を行い、国内企業に対して外国企業と同じく罰金を科した。米国の日本企業の違反行為に対する罰金は、これと比べるとさらに高額だ。トヨタが安全リスクを隠蔽していた問題で、安全問題が起きなかったにも関わらず12億ドルの罰金が科された」と指摘した。>>>詳細へ
独禁法違反調査、世界と合致する規範化の手段に
発改委によると、今回の独禁法違反の行為は、価格カルテルだった。これは競争関係のある経営者間で結ばれる協定で、市場競争を直接排除・制限する行為だ。
北京大成弁護士事務所の弁護士の鄧志松氏は、「価格カルテルは価格操作の中で最も悪質だ。今回の日本関連企業に対する独禁法違反調査、法執行の手続きは世界基準と十分に合致している」と指摘した。
中国政府は以前、市場の公平な競争の調節に参与していなかった。発改委が市場の規範化に着手したのは、一つの進歩と言える。今後一定期間に渡り、寡占やダンピングにより生じる異常な競争は、政府の重点的な取り締まりの対象になる。>>>詳細へ
反省 独禁法事案で明らかになった中国の自動車部品の弱み
史上最大とされる独禁法違反の制裁金は、中国の自動車部品産業の弱みを鋭く突くものとなる。中国の自動車工業は大きいが強くないと言われるのは、コア部品の技術と産業とが欠けていることはその表れの一つだ。中国の自動車市場は5年連続で世界最大の新車市場となっており、年間生産販売台数は2000万台を突破している。だが乗用車のコア部品メーカーはほとんどが、外資の単独資本によって設立されたものや、株式保有によって絶対的な支配権を握られたものとなっている。中国の乗用車の部品メーカーの多くは、ホイールハブやハンドルなど技術の含有量が低い部品を生産しており、コアのハイテクを握ったメーカーは少ない...>>>詳細へ
【関連情報】
■ 独禁法違反の時間軸
■ 処罰決定
▽自動車部品価格の独占案件についての処罰決定
(1)独占合意達成に関する状況を初めに報告し、重要証拠を提供した日立に対しては、処罰を免除する。
(2)独占合意達成に関する状況を2番目に報告し、重要証拠を提供したデンソーに対しては、前年度の販売額の4%に当たる1億5056万元の制裁金を科すこととする。
(3)1種類の製品についてのみ談合を行った矢崎・古河・住友に対しては、前年度の販売額の6%に当たるそれぞれ2億4108万元、3456万元、2億9040万元の制裁金を科すこととする。
(4)2種類以上の製品について談合を行った愛三・三菱電機・ミツバに対しては、前年度の販売額の8%に当たるそれぞれ2976万元、4488万元、4072万元の制裁金を科すこととする。
▽軸受価格の独占案件についての処罰決定
(1)独占合意達成に関する状況を初めに報告し、重要証拠を提供した不二越に対しては、処罰を免除する。
(2)独占合意達成に関する状況を2番目に報告し、中国市場にかかわるすべての証拠と販売データを提供した日本精工に対しては、前年度の販売額の4%に当たる1億7492万元の制裁金を科すこととする。
(3)2006年9月にアジア研究会を離脱しながら中国輸出市場会議に引き続き参加したNTN社に対しては、前年度の販売額の6%に当たる1億1916万元の制裁金を科すこととする。
(4)中国市場をターゲットとして開かれた輸出市場会議を提案したジェイテクト社に対しては、前年度の販売額の8%に当たる1億936万元の制裁金を科すこととする。>>>詳細へ
(編集JZ)
「人民網日本語版」2014年8月22日