中米の科学者はこのほど、タコやイカなどの頭足類からインスピレーションを得て、温度の変化に基づき色を変える新型人工皮膚を開発した。将来的に軍需産業、商業、工業への活用が期待される。新華網が伝えた。
この成果は米国科学アカデミー紀要の最新号に掲載された。同論文の筆頭著者、ヒューストン大学准教授の余存江氏は、「頭足類海洋動物は生まれつき高い偽装能力を持ち、周囲の環境を感知し皮膚の色を変え、すぐさま環境の中に溶け込み、捕食者から逃れることができる。これらの偽装能力は、頭足類海洋動物に特有の生理・細胞構造によるものだ。当チームはこの偽装のメカニズムを模倣し、極薄の人工偽装皮膚を設計・開発した」と説明した。
余氏は、「偽装皮膚は細胞に類似する多くのユニットによって形成されている。そのすべてが、タコなどの頭足類海洋動物を手本にしている。これによって製造された偽装皮膚の最も大きな特徴は自動感知で、色を変えて周辺の環境に溶け込むことができる」と述べた。
余氏は、「これまで発表されてきた変色材料は、人による起動と制御を必要としていたが、当チームの偽装皮膚は完全に自動適応できるシステムとなっている」と語った。
情報によると、この偽装皮膚は1−2秒内に日照の変化に反応できるが、色の種類はまだタコには及ばず、白と黒という原始的な色に留まっている。試作品は低温時に黒くなり、気温が摂氏47度を超えると透明になる。
余氏は、「試作品の一部のユニットを交換、もしくは改善することにより、動物の変色機能に近づけることができる。当チームは原理的に、変色皮膚の実行性を証明した。最も直接的に活用されうるのは軍需産業で、他にも窓ガラスや透明な車体など、商業・工業にも活用される可能性がある」と予想した。
北京航空航天大学、南京航空航天大学、中国科学技術大学の研究者も、偽装皮膚の研究に参与した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年8月22日