米アップル社の内部資料によると、新製品のタブレットコンピューター「iPad Air 2」(アイパッドエアー2)と「iPad mini 3」(アイパッドミニ3)にはアップルのSIMカード(シムカード)が内蔵されており、スプリント、T-モバイル、EEなど多くのプロバイダーとの互換性がある。故スティーブ・ジョブズ氏時代以来のアップルのSIMカーをなくす野望が再び顕在化し、新たな挑戦を始めたといえる。「北京商報」27日に伝えた。
アップルの計画によると、T-モバイルなどのプロバイダーのユーザーは、SIMカードを交換せずにネットワークトラフィックのアカウントを開設することが可能で、製品上で互換性に対応したプロバイダーを選択することができる。アップルは今後、より多くのプロバイダーを呼び込みたい考えだ。
アップルはジョブズ時代からSIMカードの小型化を虎視眈々と狙ってきた。通信の専門家・馬継華さんによると、SIMカードは小型化が主流で、初めはキャッシュカードの大きさ(フルサイズ)だったのが、ミニSIM(標準サイズ、フルサイズのブラケットから取り外した部分)になり、マイクロSIMになり、さらに小さなナノSIMになった。アップルが小型化を進めてきたのは、モバイル設備の小型化、軽量化を実現させるためで、他のメーカーもみなこの点は理解している。
SIMカードのハードからソフトへの切り替えは必然的なものだといえる。SIMカードのSIMとは利用者識別モジュールのことで、デジタルモバイルホンの利用者の情報、暗号化のキー、利用者の電話帳などを記録し、利用者を識別するとともに、音声通話の情報を暗号化する。今後はこうした内容がソフトウエア方式で携帯電話に取りこまれるようになり、SIMカードはハードウエアに内蔵された部品の一つになるとみられる。
在野の電気通信アナリスト付亮看さんによると、SIMカードのはたらきをソフトウエアが代替するようになることは、携帯電話の製造技術にとってはプラスだといえる。携帯電話の設計や製造ではSIMカードのためにカードスロットを設ける必要があり、出し入れがしやすいようにしなければならなかった。本体内部の電子回路や配線でもSIMカードへの対応が必要だった。だがSIMカードが内蔵されるようになれば、技術や設計の多くの段階や処理をカットすることができる。ユーザーは携帯電話を変更した際、ソフトを通じて内蔵されたSIMカードに情報を書き込むだけでよくなる。
とはいえ、携帯電話とSIMカードの分離が一般的な中国携帯電話市場で、すぐにSIMカードに別れを告げることはあり得ない。技術的な障害があるからではなく、海外でプロバイダーに対応した携帯電話が主流なのとは異なり、中国のユーザーはベアマシンを購入し、購入してからプロバイダーを選んでSIMカードと通信業務の手続きをする人が多いからだ。習慣はそう簡単には変わらない。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年10月28日