終審裁判所は、ア、独禁法14条に定める再販価格の固定行為には、競争排除、制限効果の有無を要件とするか、イ、上記要件の立証責任の配分原則という二つの核心争議点につき以下のように判断した。
アにつき、終審裁判所は「最高人民法院独占行為による民事紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する規定」7 条を引用し、7条には「被訴独占行為が独禁法第13条1項一号から五号までの独占的協定に該当する場合、被告は、当該協定が競争を排除し若しくは制限する効果がないことについて立証責任を負わなければならない」と規定し、これにより、市場競争に強い影響を有する水平類カルテルになお競争排除、制限効果の要件を要求されるので、軽い影響を有する垂直類カルテルの場合、当然、競争排除、制限効果の要件が必要となる、と判断した。
イにつき、終審裁判所は、上記司法解釈により、13条の場合のみに競争排除、制限効果への立証責任を被告側に負わせ、別途立証責任転換に関する明文上の規定がなければ、14条における競争排除、制限効果への立証責任は、原告側がこれを負担すべきである、と判断した。これと同時に、終審裁判所は①関連市場に充分な競争の有無、②被告の優勢な市場地位の有無、③被告が再販価格の固定行為を実施する動機、④価格固定行為の実施が市場競争への影響、を競争排除、制限効果の要件に関する四つの判定基準として提示した。
最後、終審裁判所は、上記四つの要件に基づき、被告の再販価格固定の固定行為が独禁法第14条の垂直類カルテルに該当することを認定した。
上記判決は、予測したとおりに、結果としては一審裁判所の稚拙な判決を覆し、原告側の勝訴判決を下した。しかし、立証責任の配分においてはなお世界中の立法傾向、判例と合致していない。再販価格維持の行為は、多くの場合、競争に与えるのは圧倒的に危害性である。相当に立証しにくい競争排除、制限効果要件への立証責任を原告に課すのは、当該行為への許容にほかならない。現時点、EU、日本、韓国、オーストラリアなど、Leegin案以後の米国においても、原告が単に再販価格制限行為の存在のみの立証責任を負担し、被告が適用免除条件の立証責任を負担し、被告がこれを立証できない場合、独禁法違反と直ちに認定されうる。実は、上記司法解釈の意見募集稿にも競争排除、制限効果への立証責任を被告に負わせていた。