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人民網日本語版>>中国法教室(101回〜)

【第145回】ジョンソン&ジョンソン再販事件VS粉ミルク価格操作事件 (3)

<中国法教室>

人民網日本語版 2014年10月28日14:00

二、発改委の行政処罰

当該事件が上記ジョンソン&ジョンソン再販事件の性質と同じ、関連6社が代理店に再販価格の維持を要求し、垂直類カルテルに該当すると発改委に認定された。しかし、発改委の判断基準は、上記裁判所と相違しているように見える。

発改委の処罰公告上に競争排除、制限効果に関する文言が記述されているが、これを行政機関の立証責任として取扱っていない。もし発改委がこれを自らの立証責任とするならば、少なくとも裁判所により提示された四つの判断基準のうち、①関連市場に充分な競争がないこと、②関連6社のいずれにも優勢な市場地位を有すること、を証明できない。なぜなら、中国国内の粉ミルク市場には20社以上のメーカーがあり、充分な市場競争が存在し、関連各社のいずれにも優勢な市場地位を有しないからである。

発改委の判断基準は、再販価格固定行為の存在のみであれば、14条の垂直類カルテルに該当し、被訴追側が独禁法第15条の適用免除要件を立証できない場合、直ちに独禁法違反と認定できると思われる。これは、2013年初、発改委が「茅台社」、「五料液社」再販価格の固定行為への処罰判定基準と一貫性を有する。もし、処罰された企業が発改委の上記①、②の立証不能を理由として発改委を被告として行政訴訟を提起できるならば、非常に面白い展開が注目されるだろう。

ところで、実務上の視点で、裁判所と発改委のどっちが間違えたのかという判断を行う意味がないと考える。独禁法の法執行機関が主に発改委、工商局などの行政機関であり、最近、急に増えた独禁法の行政処罰を考慮し、企業としては、単に上記終審判決だけに基づき、関連市場に十分な競争を有し、かつ自社に優勢な市場地位を有しないことにより、再販価格を固定しても問題だろうという判断が非常に危険である。また、今後、医療器械、医薬及び化粧品業界の法執行が注目される。

 作者:周暘 錦天城法律事務所パートナー弁護士(早稲田大学法学研究科卒 法学修士)

 「人民網日本語版」2014年10月28日

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