東京は夏を迎えた。夜のとばりもまだ下りない時刻に、銀座の大通ではネオンサインが争うようにキラキラと点灯し始める。三越や和光などの名店が集まる銀座4丁目交差点では、「Haier」(海爾、ハイアール)のネオンが真っ先に輝きだす。(文:陳言)
ハイアールのネオンは、赤い縦ラインの光が右端に点灯し、日本人の縦書きの習慣に従って右から左へと移動し、少しずつ赤ラインの部分が増えていく。全体が赤くなると「Haier」の文字だけを残して消え、また右端に赤ラインが点灯して同じ動きを繰り返す。今、銀座の大通でデパートの袋を下げている人々はすぐに中国人だとわかる。目抜き通りにハイアールのネオン広告がきらめくのを見て足を止め、「ハイアールだ」とうれしそうに叫ぶからだ。
だが日本の街角で目にすることのできるハイアール製品は、実際にはそれほど多くない。中国人がよく行く場所、たとえば秋葉原の家電量販店「ヨドバシAKIBA」では、ハイアールの冷蔵庫や洗濯機などの家電製品が売られている。
日本の友人は娘が進学で地方から上京した時に、冷蔵庫や洗濯機といった基本的な家電製品をハイアールでそろえた。友人によると、娘は東京の大学を4年で卒業した後も東京で働くつもりで、この家電製品は大学の4年間はもちろん、卒業後も使う予定なので、7〜8年から10年はもたないといけない。結婚する時まで買い換えないつもりでそろえたという。友人は、「中国で働いたことがあるので、中国の家電の質の高さはよくわかっている」といい、自分も使ったことのあるハイアールを選んだという。日本人にとってはどうか。日本人がハイアールを選ぶ主な理由はその安さにある。最新の製品や生活に欠かせない製品では、日本人は国産ブランドを選ぶ傾向が強い。