こうした、「中国での使用に向かない部分」こそ、中国製造業のチャンスと言える。ランドセルはただの「魚」だ。中国人消費者のニーズに合わせ、人にやさしい、機能的なデザインを行うことこそ、中国製造業が学ぶべき「漁」だ。中国伝媒大学産業経済学の金雪濤教授は、「製造企業は、価格競争ばかりしていてはいけない。消費のアップグレードに適応するためには、製造業は生産と消費のかい離という現状を変えなければならない。製造企業は、消費者のニーズに関するデータを集め、消費のトレンドを発掘する必要がある。また、より多くの生産関連サービスを提供し、産業チェーンを伸ばさなければならない。これは、我々が長期的に提唱してきた製造業の『規模の経済から質の経済』への転換でもある」と語る。
アップグレードした消費者ニーズを満たすためには、技術も大切だが、工業デザインも重要だ。姚林青教授は「中国製造業の技術レベルは、数十年間の発展を経てある程度の基盤を築いているが、製品のマーケティングはもっと差別化を強調しなければならない。差別化のためには、工業デザイン体系を強化する必要がある」と語る。
金雪濤教授は、「デザインなくして製造業はない。両者は共に成長し、相互補完する関係にある。中国製造業は工業デザインの面で製造業強国に大きく劣る。工業デザインは消費者の立場に立ち、製品の全ての要素を統合・融合し、向上させる。技術を革新すると同時に、製品デザイン、機能デザイン、構造デザインなどを通じて最終的に新製品を完成させる。また、工業デザインは様々な部門に関わり、多くの技術を融合させることで革新的な新製品を生み出すことができる。このため、製造業は生産関連サービス業と手を組み、デザイン資源を統合し、デザインの革新体系を打ちたて、工業デザインを細分化し、総合的に運用することによって、最良の効果が得られる」と語った。
日本のランドセルだけでなく、温水洗浄便座、ストッキング、セラミックナイフなど、中国人に人気の商品にはどれも「愛すべき」ポイントがある。中国の製造業はこの中から商機を掴み、品質を向上させ、消費者をもう一度取り戻さなければならない。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年10月12日