日本の時事通信社は、インドネシアの高速鉄道プロジェクトの入札で日本が中国に敗れたことについて、円借款政策が厳しすぎたのが主な原因だったと報じた。
今回の円借款条件の緩和は、日本政府が迫られて行った変革だったと言える。劉氏の指摘する通り、ある意味では、AIIBの創設によってアジアのインフラ建設の環境とルールは変わり、アジアは、開放的で良好な競争が可能な投融資の時代に入ったと言える。
▽隠された目的
日本の円借款条件緩和の目的は単純なものではない。そのねらいを知ろうとすれば、AIIBが出現する前の状況から考えなければならない。
インフラ建設の面において、日本は長期にわたって、フィリピンやインドなど東南アジアや南アジアの地域で活動してきた。これには、日本のインフラ建設企業の海外進出のニーズを満たすのとは別の目的があった。
日本は過去のかなり長い間、アジアでパトロンの役割を演じてきた。劉氏によると、日本の借款はこれまで、競争相手がおらず、独占的な地位にあった。独占を背景として、円借款は多くの目的を担うようになった。その中でも大きな目的としては次の3つが挙げられる。
第一かつ最も中心的な目的は、現地の価値観への浸透をはかることである。現地の文化や理念に浸透していったその価値観には米国の要素もあるし日本の要素もあったが、この役割は非常に際立つものであった。
第二の目的は、アジアの国際通貨市場における日本円の地位を固めることである。円借款は付帯条件として、支払や決済、償還などで円を使用することを求めていた。大型プロジェクトを通じた円借款の大量の使用は、日本円がアジアの主要通貨となるのを後押しした。