第三の目的は、インフラ建設を通じて日本政府が重要な制度を掌握することにほかならない。収益を上げるだけでなく、現地の主要な技術標準をコントロールしようというねらいだ。「だがこうした状況は、中国の技術革新とAIIBの出現で変化しつつある。中国は、発展途上国を支援する新たなモデルを打ち出し、アジアに新たな競争を引き入れた」。劉氏によると、この競争においてはまず、価値観の問題で日本が個別のプロジェクトにこだわっていることができなくなった。次に、人民元が急速に伸びていく中、強制的な円使用を求め続ければ円借款の量や質に影響を与える可能性がでてきた。第三に、リスク問題が障害となってプロジェクトの支援実現に影響が出始めた。
円借款の条件緩和は、すでに持っていた優位性とともに、日本のインフラ建設がAIIBと競り合うカードを増やすものとなった。
劉氏によると、円借款にはもともと、円借款の利息が非常に低いという強みがある。日本は国内ではマイナス金利であり、資金コストを低く抑えることができる。この点は現在の中国では実現できないことだ。日本が低金利を通じてコストを引き下げることは企業にとって悪い話ではなく、最大の優位性と言える。借款の手続と円の比率で条件が緩和されたことで、その競争力はさらに高まった。
インドネシアの高速鉄道で最終的に中国に競り負けたことは、日本にとっては良い教訓となった。劉氏によると、インドネシアの高速鉄道の受注を中国と争った際には、日本の借款などの関連政策が中国と比べて柔軟性を大きく欠いていることが明らかとなった。日本政府はこの状態を変えることを迫られた。「日本はすでにインドの鉄道プロジェクトを手中に収めているが、これは価値観や低金利、柔軟な政策などの多くの要素が総合的に作用した結果であり、政策調整の成果とも言える」(編集MA)
「人民網日本語版」2015年12月16日