◆無人運転を実現する方法とは?
車は14日、次の目的地の鄭州市に向かった。
車が高速道路を走行する間、李氏は携帯電話でNBA選手コービー・ブライアントの引退試合を観戦した。李氏は記者に対して、「平野部に入り、テストの難易度が下がった」と話した。
「自動運転車はなぜ自動的にブレーキを掛けられるのか」との質問に、李氏は、「車に内蔵されているセンサー、5つのミリ波レーダーは、車の目と耳のようなものだ。360度の周辺環境を感知し、自動的にブレーキを掛ける前に、周囲の環境が安全か、交通ルールに合致するかを確認し、メインシステムに情報を伝える。車内のメインシステムは脳のようなもので、伝えられた情報を処理した上で判断を下し、方向転換、制動、動力システムの操作を自動的に完了させる」と説明した。
車は午後5時頃、順調に鄭州市に到着した。
◆危険区間、車のジャングル
15日には、鄭州市から石家荘市に移動した。李氏は、「今は平野部の工業地帯に差し掛かっており、多くの大型車が走行する。これは感知システムにとって厳しい試練だ。一部の大型トラックは走行中、タイヤが車線内であっても、車体もしくは不規則な形状をした貨物がこちら側の車道に入ってくる。自動運転車は識別の際に、判断ミスを犯しやすい」と語った。
平野部では、強い光も自動運転車の「敵」になる。日差しが路面に差し込むと、反射や光散乱が生じやすく、車線と道路の見分けがつきにくくなる。これは感知システムの車線識別に影響を及ぼす。またすれ違う車によるハイビームで、自動運転車のカメラも人の目と同じように、車線の見分けがつきにくくなる。李氏は、「この難題を解消するためには、レーザーレーダーなどの技術による補助が必要だ。レーザーレーダーは市街地内のテスト車で使用したことがある。今後はこれを小型化し、高速道路のテスト車に内蔵するために、研究を進めなければならない」と述べた。
午後5時頃、車は石家荘市に到着した。
◆北京にゴール、新記録が誕生
車は16日、国道107号線を丸一日走行し、午後6時頃に北京に到着した。中国製造業が誇りとする新記録が、これにて誕生した。自動運転車の1度のテストによる走行距離で、世界2位を記録したのだ。独アウディの自動運転車は昨年、米国の西海岸から東海岸までを横断し、世界最長記録を樹立した。
記者はテストの全過程を見守り、重慶市を出発し、西安市、鄭州市、石家荘市を経由した。総走行距離は1700キロ以上。交通状況は複雑で変化が激しかったが、テスト車は長時間に渡り自動運転状態を維持した。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年4月19日