中日の著名メディア人による対話会会場の様子
日本に長く住むある華僑の話では日本企業の中国に対する見方が急激にマイナスイメージに転じたのは3年前の釣魚島(日本名・尖閣諸島) 領有問題に関係しているという。2012年9月、日本政府は釣魚島の「国有化」を宣言、中日関係が悪化し、中国各地で民衆の強烈な抗議活動が起こった。長沙、青島などでは抗議者が暴徒化し、日系の商店や工場が焼き討ちされる事件も起きた。
中日関係について長年研究しているある人物は、特に日系企業2社の焼き討ちと破壊事件について日本人は全く理解できなかったと語った。1社は青島開発区にあったパナソニックの工場だ。パナソニックは最も早い時期に中国に進出した日系企業の一つであり、松下幸之助氏が鄧小平氏の要望で進出した経緯があり、先進技術で中国の発展をサポートした典型的な例だ。そしてもう1社はスーパーマーケットのイオンだ。イオングループの経営陣は中国の環境保護を支援し、長年北京の長城や青島近郊で植樹活動を展開してきた。また四川大地震発生後、イオングループは中国に最も多額の寄付を行った日系企業だ。
日系企業の破壊事件はすでに過去の事件となったが、その後遺症は今も継続している。この事件は中国の人件費の上昇と投資の敷居の高さと共に日本の対中国投資に影響を与える三大要素となっている。2014年、日本の対中国投資は38.8%減少し、2015年にも投資がさらに29%減少した。
中国と日本の世界経済におけるシェアや中日経済の補完性という観点からみてもこれは正常とは言えない。先進各国の中でも日本が中国に対する技術貿易が最も多く、今日の中国製造業における数多くの技術は全て日本から学んでいるからだ。ある華僑は「中日の経済的な冷え込みが長期化していけば、遠く対岸でコントロールしているあの国を利するだけだ」と懸念するように語った。