66.第四に、「地理的近接性」と「国家の安全保障」はいずれも領土取得の国際法上の根拠ではない。世界の多くの国の領土の一部は本国から遠く離れ、他国の沿岸に位置するものさえある。米国がフィリピンを植民統治していた期間に、フィリピン諸島付近の一つの島の主権をめぐってオランダとの紛争が発生した。米国が「地理的近接性」を理由に提起した領土主張は国際法上の根拠がないと判定された。いわゆる「国家の安全保障」を理由に他国を侵略・占領することはもっとでたらめなことである。
67.第五に、フィリピンは、中国南沙諸島の一部島嶼・礁が排他的経済水域と大陸棚の範囲内にあるから、関係島嶼・礁はフィリピンに属す、あるいはフィリピンの大陸棚の一部分になると称する。この主張は『条約』が賦与している海洋の管轄権をもって中国の領土主権を否定しようとたくらむもので、「陸が海を支配する」という国際法の原則に背くものであり、『条約』の主旨と目的に全く適合しない。『条約』の序では、「全ての国の主権に妥当な考慮を払いつつ海洋の法的秩序を確立する……」と規定されている。従って、沿岸諸国は他国の領土主権を尊重するという前提の下で、海洋の管轄権を主張しなければならず、自らの海洋の管轄権を他国の領土にまで拡張してはならず、ましてやそれによって他国の主権を否定し、他国の領土を侵犯してはならない。
68.第六に、フィリピンのいわゆる「実効支配」は不法な侵略・占領によって確立したもので、違法で無効である。国際社会は、武力行使による侵略・占領で形成されたいわゆる「実効支配」を認めない。フィリピンのいわゆる「実効支配」は中国南沙諸島の一部島嶼・礁に対する赤裸々な武力による侵略と占領で、『国連憲章』(以下『憲章』と略す)と国際関係の基本準則に背いていて、国際法で明確に禁止されている。不法な侵略・占領に基づくフィリピンのいわゆる「実効支配」の確立は、南沙諸島が中国の領土であるという基本的な事実を変えることはできない。中国はいかなる人であれ南沙諸島の一部島嶼・礁が侵略・占領された状態を「既成事実」、あるいは「現状」と見なそうとすることに断固として反対し、これを決して認めない。
(三)国際海洋法の制度の発展が中比の海洋境界画定紛争を招いた
69.『条約』の制定と発効に伴い、中国とフィリピン間の南中国海をめぐる紛争が逐次激化してきた。
70.中国人民と中国政府の長きにわたる歴史的実践とこれまでの中国政府の一貫した立場、1958年の『領海に関する中華人民共和国政府声明』、1992年の『中華人民共和国領海及び接続水域法』、1996年の『中華人民共和国全国人民代表大会常務委員会の「国連海洋法条約」の批准に関する決定』、1998年の『中華人民共和国排他的経済水域及び大陸棚法』、1982年の『海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)』などを含む国内法と国際法に基づき、中国の南中国海諸島は内水、領海、接続水域、排他的経済水域、大陸棚を有する。この他に、中国は南中国海において歴史的な権利を有している。
71.フィリピンの1949年の共和国法第387号、1961年の共和国法第3046号、1968年の共和国法第5446号、1968年の大統領布告370号、1978年の大統領令1599号、2009年の共和国法第9522号などの法律に基づき、フィリピンは内水、群島水域、領海、排他的経済水域、大陸棚を公表した。
72.南中国海では、中国の陸地領土の海岸とフィリピンの陸地領土の海岸は向かい合っていて、その距離は400カイリに満たない。両国が主張する海洋の権益区域が重なり合っている故に、海洋境界画定の紛争が発生している。
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