歳月は過ぎ、60年前の甲午の年、つまり1954年、世界情勢には巨大な変化が生じた。世界は2度の世界大戦を経験。第2次大戦では日本が敗れ、中国は戦勝国となった。結党から30年余りの中国共産党はすでに中華民族を復興の道へと導き、新中国が朝日のように昇っていた。この甲午の年、第1期全国人民代表大会第1回会議が北京で招集され、共和国初の憲法が誕生し、毛沢東らは強大な社会主義近代化工業国家を建設する方針を打ち出した。中ソ協力は蜜月期にあり、中国は第1次5カ年計画を開始し、政策決定者は原爆、ミサイル、人工衛星の開発の検討に入っていた。同年、康蔵(四川-チベット)道路、青蔵(青海-チベット)道路が開通した。
だが世界情勢は穏やかではなかった。冷戦が拡大していた。1954年、米国は初の実用型水爆の実験を行った。初の原子力潜水艦が進水した。広島への原爆投下から9年後のこの年、安倍晋三が生れた。
だがこの甲午の年には、後に人類の文化に傑出した貢献を果たす人物も生れた。西洋のキャメロン、東洋のアン・リー(李安)やジャッキー・チェン(成龍)などだ。20世紀中頃から世界的規模で新たな技術革命がわき起こり、分子遺伝学が目覚ましく発展し、DNAの二重螺旋構造が発見され、第1世代コンピュータがパーソナルコンピュータへ向かって発展し、人類は宇宙空間への進出を始めた……。
だが中国はこのチャンスを逃した。大躍進、文化大革命という間違いを経て、中国は1978年の午年になってようやく混乱を収拾し、正常な軌道に戻った。
中国の旧暦は60年を一周期とする。2014年の甲午の年、世界と中国の情勢には再び深い変化が生じている。中国人はこの年を、改革の全面的深化のスタートの年と呼んでいる。習近平総書記は中央改革全面深化指導チームのトップに就任した。この年、中国は鄧小平生誕110周年も迎える。この改革開放の総設計士は30年余りの奇跡的発展の扉を開き、中国を世界第2の経済大国にし、国際社会の中央に戻した。
中国は現在、歴史上のどの時期にも増して中華民族の偉大な復興という目標に近づいていると言われる。中国が年初に発表した7.7%というGDP成長率は再び強く注目され、金融危機後世界的に数少ない見事な安定した成長だと見なされている。だが中国は構造の不均衡、過剰生産能力、貧富の格差、環境破壊など様々な問題にも直面している。