貿易強国という構想は、商務部国際経済貿易協力研究院が2010年4月に公表した報告書「ポスト危機時代の中国対外貿易発展戦略研究」(以下、「戦略報告」)ですでに大まかな将来像が描かれていた。
同報告書は、中国の対外貿易は今後20年で「大」から「強」への転換を実現するものとしている。2020年頃までに貿易大国の地位を固め、貿易強国のプロセスを推進。さらに2030年頃までに「貿易強国の目標をおおよそ実現する」、という計画だ。
霍院長によると、貿易強国を実現するには、自前のブランドで一定のシェアを獲得すると同時に、市場開拓能力や海外販売能力、さらに技術研発やアフターサービスの能力を備えることが必要となる。「課題報告で示された『技術、ブランド、品質、サービス』は一国のソフトパワーの競争力にかかわるものだ」
技術・ブランド・品質・サービスは、新たな状況下で商務部が打ち出した貿易強国実現の切り札となる。4年前に商務部が打ち出した戦略報告とこれを結びつければ、中国の対外貿易の「大」から「強」への転換のロードマップがはっきりしてくる。
これら2つの報告書はいずれも商務部の部級重大課題だが、切り口は異なる。戦略報告では「貿易強国」という概念が明示された。4年後の課題報告では、「新たな競争優位」の育成が中心となった。業界関係者は、両者は切り口は違うが同じことを意味していると見ている。「後者は、第18期三中全会の精神に呼応するものだ」
2つの報告書を比べると、貿易強国実現のロードマップがほぼ変わっていないことがわかる。霍院長は、中国が2020年頃までに、一定の競争優位を持った貿易強国をおおよそ形成し、公平競争の貿易環境下で対外貿易の各経済指標も一定のレベルに達すると見ている。だが真の貿易強国となるにはその強化と向上にさらに数年が必要で、実現は2030年頃となるという。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年7月9日