中国が参考にすべき点はどこにあるだろうか
▽スポーツ青少年人口と層の厚さ
日本では、高水準の競技スポーツは二つの体系がベースになっている。一つはプロスポーツで、サッカー、野球、バレーボールなどいくつかの職業化された高水準の種目に限られる。もうひとつはオリンピックを目指す体系で、主に大学や一部の企業支援の社会人クラブがこれにあたる。
錦織選手の快挙と日本男子テニス界の発展は、一衣帯水の中国にとってプレッシャーであると同時に、励みにもなっている。しかし、テニスの基盤という面から見ると、我々が成功するにはまだまだ長い道のりが必要だ。なぜなら、錦織選手の成功は、選手1人だけの功績ではなく、テニス協会や財団による支援があったためで、選手を取り巻く環境がとりわけ大きな役割を果たしているためだ。
▽日本の選手育成は挙国体制
中国テニスの張択選手、呉迪選手は上海マスターズのワイルドカード(特別出場枠)獲得を目指し上海でATPツアーに出場しているが、張選手は初戦で敗退、呉選手も第3試合で敗退した。
日本では、世界ランキングでトップ100入りを果たす選手が着実に増えており、150位前後をうろうろしている中国男子テニス選手たちにとってはプレッシャーだ。これは、中国男子テニスが真の意味でプロ化を果たせていないことと関係がある。テニス競技の研究に長年携わってきた南京師範大学スポーツ管理学の楊麟・博士は、「テニスは中国におけるプロ化改革の先駆者と言えるが、日本と比べると、人材選抜、青少年のトレーニングなどで体制面の問題が見られる」と語る。