中国人民大学財経学院の趙錫軍・副院長は、「人民元の国際化は特殊な状況下で進められていることに、特に注目しなければならない。通常、通貨の国際化は、完全に自由に換金できるようにしなければならない。しかし、人民元は、完全に対外開放されていない間に、国際市場に進出した。そのため、海外における消費が重要な意味を持つようになり、中国人が海外旅行に出かけたり、海外でショッピングしたりすることで、人民元の国際化が進んでいる」と強調している。
08年に世界金融危機が発生し、翌09年に中国の旅行収支は赤字に転じた。そして、人民元の国際化が加速した。趙副院長は、「海外での消費の寄与度は低いが、急速に成長している。特に09年以降は、急速に発展している。13年末、クロスボーダー貿易における人民元での決算額は10兆元(約175兆円)を突破。米ドルに次ぐ世界第2位の貿易金融通貨となった。また、人民元は同年、世界第8位の主要取引通貨になり、14年は、1つ順位を上げて第7位になった」と指摘している
人民元決算が急速に発展している地域と、中国人の主な海外旅行先はほぼ一致する。例えば、香港や澳門(マカオ)、台湾、韓国、東南アジア、オーストラリアなどだ。「人民元の国際化と中国人の海外における消費は、密接な関係がある。中国人の海外における消費や決算の発展が、人民元の国際化を進めている」と趙副院長。
近年、中国の旅行収支の赤字が膨らんでいるのを受け、観光局の邵琪偉・局長は、「中国政府の海外旅行推進という政策が変わることはない。中国の外貨準備高が高止まりしているのを背景に、旅行収支の赤字は、世界の貿易、特に中国の主な貿易パートナーとの間の一種の『リバランス』とも言える。人民元の国際化加速と、中国の世界に対する影響力の拡大が『非通貨の收益』となっている」との見方を、世界の旅行界に何度も伝えている。 (編集KN)
「人民網日本語版」2014年9月24日