19日、中国のネット通販大手「アリババ」(阿里巴巴)がニューヨーク市場で新規株式公開(IPO)を行い(銘柄コード「BABA」)、200億ドルを超える融資を集めた。米国のIPO史を塗り替える融資記録となった。
アリババ創業者の馬雲は、見かけはあまり目立たないが、今回の上場成功で一躍、世界級の企業家の一人となった。資本市場での魅力や社会的な影響力を備えたアリババは、世界級の企業へと発展し、「アフリカのアリババ」や「インドのアリババ」としても投資者を誘っている。
「あなたは昨日、私を相手にしなかった。私は今日、あなたの届かないところにいる」。馬雲の成功の道のりはネット上でこのように表現されている。IPO説明会で馬雲は、「私が15年前に米国で200万ドルの融資を求めた時には、30社のベンチャーキャピタルの拒否を受けた。今回は、多めの資金を持って帰るつもりだ」と語った。アリババのここ数年の発展の過程で、投資のチャンスを失った人は少なくない。
最も気を落としているのはゴールドマン・サックスだろう。孫正義は、馬雲の最初の恩人ではない。馬雲を本当に見出したのはゴールドマン・サックスだった。馬雲の起業は1999年3月だが、ゴールドマン・サックスはその年の10月、フィデリティ・インベストメンツなどと共同でアリババに500万ドルを投じ、困難な起業期にあった馬雲を助けた。
だがその後、世界のインターネットバブルがはじけると、ゴールドマン・サックスは、インターネットへの自信を失っていった。2004年には、アリババ株のすべてを2200万ドルで譲渡し、両社は正式にたもとを分かった。ゴールドマン・サックスが今回のIPOで演じたのは、アンダーライターの一つという役割でしかない。
米IDG(International Data Group)は、IT出版や調査、展示会、ベンチャー投資などを手がける世界最大級の企業。騰訊(テンセント)や百度など中国の多くのインターネット企業の投資に成功したが、アリババは逃した。IDGアジア地域の熊暁鴿総裁は2007年、インターネット企業の会合で、「IDGは中国で多くのインターネット企業に投資しているが、アリババはそこから漏れてしまった。私たちの最大の失敗と言える」と述べた。