国際労働機関(ILO)が最近発表した2015年版の「世界の雇用と社会の展望」によると、世界で安定した職業についている人は労働者全体の4分の1にとどまっている。残りの4分の3は、短期の労働契約か、契約による保障のない非正規雇用者、または個人事業主、寄与的家族従業者だ。ILOのガイ・ライダー事務局長は、投資を強化し、さらに多くの雇用を創出するほか、生産効率を向上し、労働者が適切な収入を確保できるよう、世界各国に呼び掛けている。 経済日報が報じた。
ガイ・ライダー事務局長は、「契約を交わした、従来の雇用形態が減少している一方、保障が十分でない雇用関係が増加している。先進国では、標準的な雇用スタイルが主導的な位置から外れるようになっている。新興の発展途上国では、雇用関係が改善しているものの、非正規雇用がやはり一般化するようになっている。世界のサプライチェーンにおいては、正常な業務時間内の短期契約が普遍的になっている」と指摘している。同報告によると、2014年の時点で、失業者が2億100万人に達し、世界的な金融危機が起きた2008年より3000万人増加した。
また、固定の収入がある雇用が、世界全体の半分を占めているものの、地域による差が歴然としている。一方、兼職は増加の一途をたどっており、特に女性の給与が、男性を20ポイント以上下回っている。短期契約や失業者、遊休人員が増加の一途をたどっているのを背景に、所得不平等がさらに深刻化している。特にサハラ以南アフリカでは、雇用が不安定で、貧富の差が拡大し、貧困に陥るリスクが高まっている。同地域では、労働者3億1900万人が極度の貧困と定義される1日1.25ドル(約150円)以下で生活している。
同報告は、「各国は積極的に年金制度の改善を行っているものの、失業保険などの社会保障を受けられるのは通常、正規雇用者だけ。年金を受給できる個人事業主は非常に少ない。統計によると、13年、年金制度に加入していた個人事業主はわずか16%。労働者が不公平な待遇を受けることがないよう保護するために、労働市場を規範化することが切実に必要となっている。特に、非正規雇用者にとっては、雇用者と有効な契約を結ぶことが必要」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年7月7日