日本はこの圧力を受け、インドネシアでの説得活動を強化した。中国の謝鋒・駐インドネシア大使によると、2015年に入ってからインドネシアが最終的に落札相手を選択するまでだけで、日本政府は4回にわたって特使を派遣し、インドネシアでの陳情と説得活動を行った。日本政府と企業は実現可能性報告の調整を続け、争奪に全力を尽くした。
検討を繰り返し、一度は中国と日本の提案を退け、中速鉄道の建設に転換することを宣言したインドネシアだが、9月になってついに、中国の提案を選択するという決定を下した。決定的だったのは、中国の建設速度(建設周期3年、2019年に開通可)だけでなく、中国企業が全額融資を提供し、インドネシアのソブリン信用による担保が必要ないことだった。
日本は「早くから起きていたのに、夜の集まりに間に合わなかった」ようなもので、事前調査報告にも1000万ドル余りを費やしており、憤慨するのもわかる。だが日本メディアは経緯を振り返り、中国に負けたのは、中国側の融資の条件が優れていたことのほか、日本が油断していたことも原因となったと分析している。「日本経済新聞」は安倍首相に近い人物の話として、日本政府はインドネシアのプロジェクトに対する中国の本気度を見誤ったとしている。
中国の高速鉄道がインドネシアの大型受注を取り付けたのには複数の要因がある。第一に、中国の高速鉄道技術は確実なもので、その名声は海外でも高い。第二に、政府各部門が全力で取り組み、指導層が自ら宣伝役を務めた。第三に、中国は十分な外貨準備を保有しており、有利な融資契約を提供することができた。中国企業がジャカルタ・バンドン高速鉄道を落札したという成功体験は、中国の高速鉄道による海外市場開拓の成功モデルとなる可能性もある。
ジャカルタ・バンドン高速鉄道は、中日両国による海外高速鉄道分野での初めての直接的な争奪戦となった。日本は失望と憤慨を感じているが、自らに足りなかった点を認識し、教訓を汲みとってもいる。タイではすでに高速鉄道の協力意向で覚書を交わしており、米国とはテキサス高速鉄道の建設について交渉を進めている。将来の市場競争はますます激しいものとなる見込みだ。ジャカルタ・バンドン高速鉄道での契約取り付けは成果ではあるが、巨大な圧力ももたらしている。中国は今後も油断してはならない。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年11月25日