また15年は中国人観光客のショッピング熱が、日本で「冷や水を浴びせられる」ということがなかった。日本の店舗も人々も中国人観光客に対し「来る者は拒まず」という態度で接し、「ブラックガイド事件」が発生することもほとんどなく、中国人観光客は日本で中国の人気観光地よりも快適な旅を楽しんだ。
さらに円安が続いていることや日本政府の外国人観光客に対する免税・税還付政策があり、中国人観光客は日本で「何をしても何を買っても安い」と感じるようになった。オカモトや花王といった世界的に有名な日用品メーカーの業績が大幅に伸びており、それぞれ「よい年を迎えた」という。
▽海外での「爆買い」からみえる供給問題の改革の必要性
商務部(商務省)と国家観光局がまとめたデータによると、15年に海外に出かけた中国人観光客はのべ1億2千万人、海外消費額は約1兆2千億元(約20兆7609億円)に上り、どちらも世界一だった。
中国財経大学金融研究院の郭田勇教授は、「経済発展の蓄積と対外開放の不断の深まりにともない、より多くの人々が海外旅行に気軽にお金を使うようになった」と話す。
中国国際貿易促進委員会の趙萍研究員は、「豊かになった中国人消費者は購入する商品の品質やブランドにより高い要求を出すようになった。一連の国内の小型商品メーカーは品質の飛躍と世界におけるブランド知名度の向上を追い求めるが、まだニーズを満たせてはいない」と指摘する。
消費は経済成長を牽引する重要なエネルギーであり、消費の流出は中国人消費者の巨大な購買力を明らかにするとともに、国内の商品の供給と消費者の需要との間にはズレがあることも示している。