国家人口・計画出産委員会と某婚活サイトが共同で発表した「2012-2013年中国男女結婚恋愛観調査研究報告」によると、1970年代・1980年代・1990年代生まれの独身者を男女別に見ると、男性は女性より2315万人多い。しかし、「女性は家柄が高い家に嫁ぎ、男性は家柄が低い家から嫁を迎える」という中国の伝統的結婚観の影響によって、「行き遅れ女性」の方が、「行き遅れ男性」より圧倒的に多いのが現状となっている。工人日報が伝えた。
中国の新生児男女比のアンバランス問題は、この30年間、悪化の一途をたどっている。2008年には新生児男女比が120:100(女児100人に対し男児120人)のピークに達し、世界でも男女比アンバランスが最も著しい国のひとつとなった。2010年に実施された第6回国勢調査の統計データから、30歳から39歳の独身男性は、同年代の独身女性に比べ613万9千人も多いという現状が明らかになった。
ところが、吉林省婦女児童発展センター・婚姻家庭サービス部の宋菲・部長は、「我々が長年にわたり開催しているお見合いパーティの統計データによると、『行き遅れ女性』と『行き遅れ男性』の比率はほぼ3対1だ」と語る。これは、全国で普遍的な現象となっており、某婚活サイトでも、結婚相手を探している独身女性の数は、独身男性に比べてほぼ4倍であることから、男性会員は会費無料であるのに対し、女性会員は有料となっている。
業界関係者は次のような見方を示した。
「『構造的失業』と同様、『行き遅れ男女』も『構造的行き遅れ』と言える。中国では、『女性は自分より家柄が高い家に嫁ぎ、男性は家柄が低い家から嫁を迎える』という伝統的な結婚観が重んじられていることから、農村部の女性は都市部の男性と結婚したいと願い、労働者の女性はお金持ちと結婚したいと願う。このようにして、ミスマッチのカップルが増加し、あらゆる面でハイレベルの『行き遅れ女性』と、同じく全ての面でローレベルの『行き遅れ男性』という両極端の男女が結婚相手を失う結果となった。『行き遅れ男性』の多くは農村で生活しており、『行き遅れ女性』は大都市に集中している。『行き遅れ女性』はかなり優秀で、人々の注目を引きやすい。さらに、結婚を焦るあまり、さまざまなSNSに参加することから、『行き遅れ女性』の危機が世間の関心を集めている」。
都市でアルバイトをしながら学問にはげむ農村女性は、都市で落ち着くことの難しさという面では、マイホームや自家用車を購入しなければならない男性ほど難しくはない。このため、大都市には「行き遅れ女性」が過剰となった。北京だけでも「行き遅れ女性」は80万人に達する一方、農村部の貧困地区では「行き遅れ男性」が激増している。心理学の研究によると、「行き遅れ男性」に比べ、「行き遅れ女性」が受ける圧力はさらに大きく、心理的にダメージを受ける危険性も高い。伝統的な考え方の影響で、「行き遅れ女性」はまるで「妖怪」のように恐れられ、避けられる対象となりやすい。長春市にある医薬品関連会社の採用担当者は、「履歴書選考の段階で、30歳以上の独身女性は基本的に落とす。というのも、これらの女性は、性格的・心理的に何らかの問題を抱えているケースが多いからだ。逆に、30歳以上の未婚男性は、仕事に脂の乗ってきた期でもあり、歓迎される場合が多い」と述べた。
米バージニア大学大学院経済学博士課程の蘭小歓さんは、「中国の『構造的行き遅れ男女』は、都市と農村が二元化するプロセスで新しく起こった現象である」との見方を示した。また、専門家は、「『行き遅れ女性』激増の危機から脱出する鍵となるのは、国民の所得格差と都市・農村の格差を縮小することだ」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年1月20日