今年に入ってから人民元の国際化の歩みが加速を続け、国境を越えた人民元決済業務が猛烈な勢いで伸びている。ある専門家によると、人民元を外貨準備として備蓄する国の増加には人民元の国際的地位の著しい上昇が反映されており、このことは中国が対外貿易を展開し、為替リスクを避ける上でプラスにはたらくとみられる。人民元が将来、世界の主要な国際準備通貨になるかどうかは、中国経済の国際的地位のいかんにかかっている。「人民日報」海外版が伝えた。
▽人民元の国際市場での動きは安定
ここ数年来、中国の対外貿易が急速に増加するのにともない、国際貿易における人民元の地位も目立って上昇した。欧米などの先進国で人民元を国際決済通貨として使用するところが増えているだけでなく、アジア、アフリカ、中南米などの多くの新興経済体も人民元を自国の外貨準備に取り入れるところが増えている。現在、中国人民銀行(中央銀行)は世界23カ国・地域の通貨当局との間で通貨交換協定を締結し、交換規模は併せて2兆5千億元(約41兆円)に上る。
人民元が世界でますます歓迎されるようになっているのはなぜか。中国社会科学院(社会科学アカデミー)金融研究所銀行研究室の曽剛主任の分析によると、まず、実体経済の面からいえば、中国は現在、米国を抜いて世界一の貿易大国だ。人民元市場は安定した動きをみせており、ますます多くの貿易国が人民元を見積もりの通貨として選択するようになった。次に、金融の角度からいえば、米ドルを中心とした通貨システムが一時期動揺して、世界には通貨多元化の傾向が出現した。人民元レートはここ数年、安定しつつ上昇し、リターン率が高いため、人民元の保有量が増加した。
実際、人民元建ての国際貿易決済は中国にとっても重要な意義がある。曽主任によると、中国は貿易大国であり、人民元ではなく他の通貨で価格を計算した場合、中国の輸出入は為替変動リスクに直面することになる。中国の巨額の外貨準備の収益が現在、論争の的になっている。一方では、中国は人民元を利用して米国に補助金を与えているという人がおり、また一方では、通貨政策の独立性を失わせているという人もいる。人民元が国際化したなら、貿易の中で人民元建ての計算や決済がますます多くなり、レートの問題から解放され、中国の通貨政策の独立性に対する外界の干渉からも解放されることになるという。