天津港の爆発現場から神経ガスが検出されたとの報道が、社会から注目を集めている。これに関し、軍事医学科学院・天津爆発現場救援専門家グループのグループ長を務める専門家・王永安氏は、「神経剤そのものの化学構造、合成原料、生産条件、天津の爆発現場に残っている化学物質の種類などを総合的に考えると、爆発現場で神経ガスが発生したという可能性は、ほぼ排除することができる」と述べた。人民日報が伝えた。
王氏は、「神経ガスは神経剤とも呼ばれ、毒性はシアン化ナトリウムよりも強い。有機リン化合物の一種であり、『有機リン剤』とも呼ばれる」とした上で、「まず、神経剤は構造が比較的複雑な有機物であり、合成するには多くの生産プロセスを経る必要がある。単純に爆発現場に残された条件だけでは生成できない。次に、メディア報道によると、2日連続で神経ガスが検出されたとしているが、この情報は信憑性が低い。大気中から検出された神経ガスは、揮発度が高い物質であるため、生成されれば風によって急速に拡散されてしまう。最後に、神経ガスは極微量に曝露しただけでも、瞳孔の収縮、視力低下など明らかな毒性症状が見られる。検査機器の報告結果が正しければ、検査地域の付近には目の毒性症状を訴える患者が大量にいるはずだ。しかし現在までに、現場付近の地域にはこうした症例は見られていない」と指摘した。
天津市環境保護局の温武瑞局長は19日の記者会見で、神経ガスの問題について、「関連部門は報道に注目し、一部の権威ある専門家による解説を確認している。環境保護部門の現在のモニタリング状況から見ると、こうした物質は検出されていない」とした。
記者は「神経ガスを検出した」と述べた人物に連絡を試みたが、取材に応じてはもらえなかった。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年8月20日